… … …(記事全文2,430文字)周期ゼミをご存じだろうか。
我々になじみのあるセミは毎年現われて繁殖し、土の中で幼虫として何年かを過ごし、地上に現れ、羽化し、また繁殖する。
このようなことを繰り返していて、セミの出てこない年というものはない。
しかし周期ゼミは毎年現れるということはない。
現れない年のほうが多い。
13年か17年間、幼虫として土の中で暮らした後、一斉に地上に出て羽化し、繁殖する。
そうしてまた13年または17年間土の中で暮らし、また一斉に地上に現れるのだ。
アメリカにはいくつもの周期ゼミのブルード(集団)があり、毎年どこかのブルードが地上に出てきている。
周期ゼミのニュースが日本に届くとしたら、それがシカゴのような大都市で発生したときである。
ところが今年はいつもより大々的に周期ゼミのニュースが日本へももたらされている。
ブルード13という17年ゼミの集団とブルード19という13年ゼミの集団は隣接しているのだが、どちらも今年現れた、つまり発生が同期したからなのだ。
周期ゼミが地中から地上へと出現するのが、なぜ13年とか17年のように大きな素数(素数とは1とその数でしか割れない自然数)の年月を経てからであるか。
この件については後で説明するとして、13も17も素数であるから、この2つの集団が前回、同時発生したのは13×17で221年も前、1803年である。
日本で言えば江戸時代、アメリカで言えば、1776年の独立宣言からそう年月がたっていない頃だ。
もし発生の周期が、大きな数であっても素数ではない場合、たとえば12年と18年なら、前回の同時発生はわずか36年前ということになる。
しかしどちらも大きな素数であるために、前回の同時発生はこんなにも昔のことになってしまう。
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