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鳥越俊太郎ウェブマガジン「鷲の目」

鳥越俊太郎(ニュースの職人)

鳥越俊太郎

岸田首相が民主主義の基本──多数決の原理を踏みにじる理由新聞、週刊誌を参考に考えてみた。

ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00190/2022092610000099866 //////////////////////////////////////////////////////////////// 週刊 鳥越俊太郎のイチオシ速報!! https://foomii.com/00190 //////////////////////////////////////////////////////////////// 私は太平洋戦争(第二次世界大戦)が終わった翌年、昭和21年4月、国民学校と呼ばれた小学校に入学。翌22年から普通に「小学校」に通い始めた。 九州の片田舎の小学校だったが、子供の頭に残っている単語は「民主主義」と「男女同権」だった。中でも民主主義の基本は話し合いという多数決の原理だった。何事も皆んなで話し合いをしなさい。最後はケツを取り(採決)で決めなさい。 話し合いの場は「ホームルーム」と呼ばれた。ケツとホームルーム。この二つの片仮名文字が75年前の記憶では鮮明に残っている。 みんなで話し合って決めましょう、という決め言葉は教室で輪になって座っている風景と重なる。ここで何事も話し合う。最後は採決で結論を出す。一票でも多い方が勝ち。つまり多数決の原理を嫌というほど叩き込まれた。 今から見ると戦前、戦時中に「愛国主義」や「天皇制」「軍国主義」で育った先生には急には無理な話で、そう言えば小学校の2年と3年の担任教師は今から思うと20歳前後の美しい女性教師だった。 厳しいけれど優しい先生で、山の麓にある先生宅へクラスの仲間と泊まりに行ったことが何度もある。そんなふうにして戦後の新しい教育は子供たちに浸透していったのだ。 私たち昭和14年と15年(3月まで)生まれの戦後第一期生たちは多数決を原理にする生き方を心の髄から学んでいったように思う。 私たちが受けたこうした民主教育は戦後、終戦その日が遠ざかると共に薄れて行ったんだろう。それは当然のことだと思う。 しかし、政治は民主主義の原点である。どの政党が政権を握るかはやはり多数決の原理である。戦後は一貫して自民党が権力を保持していて、子供時代からそれを見慣れている。
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