Foomii(フーミー)

藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

日経社説「消費税減税はポピュリズム」の誤謬を斬る――未来を語るなら、まず現実を直視せよ
無料記事

 日本経済新聞は、社説において高市総理の昨日の記者会見について「消費税減税はポピュリズムであり、未来に託せない」と断じた。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK199ZE0Z10C26A1000000/


しかし、これは政策評価の本質を著しく誤解し、結果として国益を損なう極めて不適切な論説であると言わざるを得ない。

 一見するともっともらしく装われているが、その実態は、イメージに基づく断片的な財政懸念を強調するにとどまり、日本経済の現実と将来を見据えた実証的・体系的な政策評価とは到底呼べない内容である。

①「ポピュリズム」というレッテル貼りは、議論の放棄である

 本社説は、「ポピュリズム」という言葉を中核に据えて議論を展開している。しかし、その議論は終始イメージ論にとどまり、実証データや経済理論に基づく政策評価を一切行っていない。

 要するに、「高市=ポピュリズム=悪」と言い切っているに過ぎず、何がどのように誤っているのか、また代替として何をなすべきなのかという論理設計は全く提示されていないのである。

 政治哲学において「ポピュリズム」という語は、本来、価値判断を伴う極めて重いラベルである。このラベルを用いるためには、まず徹底した政策論を提示し、その政策が理論的にも実証的にも誤っていることを明らかにした上で、初めて許されるものである。

 にもかかわらず、本社説は政策論を完全に欠いたまま、単なるレッテル貼りに終始している。  この一点をもってしても、本論説は理性的な政策論ではなく、プロパガンダと断じざるを得ない。


② 現実の日本経済は「可処分所得の減少」という構造問題に直面している

 日本では、可処分所得が11か月連続で減少しているという客観的データが存在する。これは言うまでもなく、長期にわたる経済停滞(スタグネーション)の帰結である。

 そして、その停滞から脱却するための有力な政策手段の一つが、消費減税を含む積極財政である。

 解散記者会見において高市総理が論じたように、積極財政は、可処分所得を引き上げ、消費と投資を拡大させ、経済成長を実現し、その結果として税収を増やし、財政基盤を強化する――という一連のプロセスを内包している。

 このような経済学的に自明な因果関係を完全に無視しながら、「減税は未来に託せない」と断ずることは、詭弁以外の何物でもない


③ この社説は「未来」を語る資格を失っている

 日経社説は、「未来」を語る上で財政規律が重要だと強調する。しかし、未来を真に論じるのであれば、少なくとも以下の視点が不可欠である。

  • ・現下の経済実態
  • ・国民の生活実感
  • ・需給ギャップの存在
  • ・成長戦略の具体的設計


 ところが本社説には、こうした議論が一切存在しない。あるのはただ、「高市はポピュリズムだから否定されるべきだ」という印象操作的言辞のみである。

 以上三点から明らかなように、本社説は、実証も論理も欠いた空疎なプロパガンダにほかならない。

 読者諸賢におかれては、高市総理が解散記者会見において実際に何を語ったのかについて、例えば下記記事に掲載された会見全文などを一次資料として直接確認された上で、ご自身の理性に基づいて評価されることを強くお勧めしたい。

『高市総理は何を宣言したのか――「緊縮国家」からの歴史的離脱と、進退をかけた解散』

https://38news.jp/economy/33909

 

 懸命なる読者であれば、日本経済新聞の本社説が、いかに欺瞞に満ちた詭弁であるかを自ずと見抜かれるに違い無いと、思う。


追伸:筆者(藤井聡)へのご意見、ご感想は、このメールアドレス宛てにお送りください。



配信記事は、マイページから閲覧、再送することができます。

マイページ:https://foomii.com/mypage/


【ディスクレーマー】

ウェブマガジンは法律上の著作物であり、著作権法によって保護されています。

本著作物を無断で使用すること(複写、複製、転載、再販売など)は法律上禁じられています。


■ サービスの利用方法や購読料の請求に関するお問い合わせはこちら

https://letter.foomii.com/forms/contact/

■ よくあるご質問(ヘルプ)

https://foomii.com/information/help

■ 配信停止はこちらから:https://foomii.com/mypage/



今月発行済みのマガジン

ここ半年のバックナンバー

2026年のバックナンバー

2025年のバックナンバー

このマガジンを読んでいる人はこんな本をチェックしています

月途中からのご利用について

月途中からサービス利用を開始された場合も、その月に配信されたウェブマガジンのすべての記事を読むことができます。2026年2月19日に利用を開始した場合、2026年2月1日~19日に配信されたウェブマガジンが届きます。

利用開始月(今月/来月)について

利用開始月を選択することができます。「今月」を選択した場合、月の途中でもすぐに利用を開始することができます。「来月」を選択した場合、2026年3月1日から利用を開始することができます。

お支払方法

クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、d払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払いをご利用いただけます。

クレジットカードでの購読の場合、次のカードブランドが利用できます。

VISA Master JCB AMEX

キャリア決済での購読の場合、次のサービスが利用できます。

docomo au softbank

銀行振込での購読の場合、振込先(弊社口座)は以下の銀行になります。

ゆうちょ銀行 楽天銀行

解約について

クレジットカード決済によるご利用の場合、解約申請をされるまで、継続してサービスをご利用いただくことができます。ご利用は月単位となり、解約申請をした月の末日にて解約となります。解約申請は、マイページからお申し込みください。

銀行振込、コンビニ決済等の前払いによるご利用の場合、お申し込みいただいた利用期間の最終日をもって解約となります。利用期間を延長することにより、継続してサービスを利用することができます。

購読する