… … …(記事全文1,888文字)『トランプ政権樹立後の日米外交の基本構想』の概要を考えてみました.是非ご一読下さい!
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今,数世紀単位の世界史的視座から見た時の大きなトレンドは,欧米そして日本の民主主義国家の相対的な「没落」と,中国・ロシア・イラン等の権威主義国家の「台頭」である(下図参照).そしてこの世界史的大変動期に危惧されるのが,極東における「米中対立」の構図に欧州・中東の紛争が連動する第三次世界大戦である.
ついては,この世界史的危機を安定化させることこそが,民主主義陣営の核となるアメリカと,権威主義国家との対立が最も激化する「極東」最大の民主主義国家・日本の,責務である.すなわち,日本と米国双方の繁栄を導く日米外交・日米同盟は,日米欧の民主主義陣営の「没落」を回避し,民主主義陣営と権威主義陣営との間の過剰な対立を回避することを通して,第三次世界大戦のリスクを最小化させる上で,世界の全ての二国関係の中でも最も重大な意義を持つ二国関係なのである.
こうした,「欧米日の相対的長期的没落」と「第三次世界大戦」を回避するという世界史的戦略に対して,バイデン・ハリスらによる過剰に理想主義を主張する「リベラリズム外交」は無力のみならず有害であった.例えばウクライナ戦争はまさに…
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)