… … …(記事全文3,392文字)本日は衆議院選挙の投開票日.
多くのメディアの調査では,自民過半数割れは決定的,公明党を併せた与党全体でも過半数割れの見通し大,と言われています.
様々なデータを拝見した当方の現時点の予想は,以下のようなものです
パターン1:自公 過半数越え 1割
パターン2:自公 過半数割れ小(非公認の自民議員の復活で過半数越え)1割
パターン3:自公 過半数割れ中(少数野党との連立で過半数越え)4割
パターン4:自公 過半数割れ大(複数野党/第一野党との連立で過半数越え)2割
パターン5:自公 過半数割れ大(連立野党政権誕生)2割
これほど,どうなるかが分からない選挙は記憶にありません.
民主党が自民党政権に勝利した選挙でも,安倍自民が民主党政権に勝利した選挙でも,どちらが勝つかはおおよそあらかじめ分かっていました.
しかし今回は,自公で過半数を超える可能性は限りなくゼロに近いですが一応あり得なくはない一方,自公で過半数が割れても,自民が政府に残るパターンもあれば残らないパターンもあり得る事になります.
自民が政府に残るパターン3としても
自公+国民民主
自公+日本維新の会
という二つの可能性が考えられます.さらにもっと過半数から大きく割れてしまうという可能性も完全に否定できる訳ではありません.
自公が大幅に過半数を割るパターン4としても
自公+国民民主+日本維新の会
という可能性もあれば,
自公+立憲民主党
ということも完全にあり得ない,という訳ではありません.
ただし,立憲民主党にしてみれば,自公と組むのは,自らのアイデンティティを否定する事にもなりますから,それだったらこれまで一定の距離がどうしても有った他の野党と連立を組む方がマシだろうと考える可能性の方が高いとも考えられます.それがパターン5です.このパターン5としては,
立憲民主党+国民民主党+日本維新の会
を基本軸として,それでも足らなければ
立憲民主党+国民民主党+日本維新の会+れいわ新選組
という可能性もあり得ないわけではありません.
…ということで,今日の皆さんの投票で,日本の命運は完全に変わってしまう事になるのです.
…こうなったのは全て,党員票で一位だった高市氏を無理矢理引きづりおろし,今まで好きでも何でも無かった何も信頼していない石破氏に白羽の矢を立て,「自分達の言う事を聞くならお前を総理にしてやる」ともちかけ,強引に操り人形としての石破総理を誕生させることを決めた岸田と菅という二人のキングメーカー達の「密室政治」に対して,国民が根本的な反発があったことが全ての原因です.
もちろん表面的には,解散しないと言ってたのに解散すると言い始めたり,裏金議員を公認するといってたのに選挙対策で非公認にすると言い始めたり,裏金議員を非公認にする基準もダブスタ(自分も岸田もセーフだが安倍派はアウト)だったりすることに対して国民は反発していたわけですが,そうした石破氏のブレにブレる振る舞いは全て,総理になるときに「自分達の言う事を聞くならお前を総理にしてやる」という約束をしていることが原因です.
つまり結局は,菅・岸田達による「密室政治」に対する根本的な憤りが,今回の自民に対する逆風世論の正体なのであって,「裏金問題」は単なる表面的な理由に過ぎません.
したがって,今日から始まるであろう「日本の政治的大混乱」の根本的原因は,石破氏のブレる態度にあるのであり,石破氏が総理になるために「悪魔と契約する」用に岸田・菅の言いなりになることを飲んだことにあるのであり,さらに言うなら,自分たちの政治勢力の維持拡大のためだけに石破氏を操る岸田・菅達の「密室政治」にあるのです.
返す返す,石破,菅,岸田の罪は重いと言わざるを得ません.
…だとすれば,今日,どの様な投票行為をすればいいのでしょう?
立憲政府なんて嫌だから,イヤイヤ自民党に投票すべきか,それとも,自民党をやっつけるために,一番強そうな立憲に投票すべきか…
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)