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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

【石破氏が理解していない裏金問題の本質】国民が憤っているのは「裏金」でなく「国民のための当たり前の政治を全くやろうとしない“岸破的”な政治態度」そのものである.

今,大手新聞社各社は.衆議院選挙にて自民党が単独過半数を割り込む公算大との観測を報じています.

 

そうした記事には,その原因として「裏金問題に対する国民の怒り」なるものが挙げられることが一般的です.ですが,実態は「裏金問題」というよりもむしろ,「石破自民の不誠実さ」こそが,真の原因であるに違いありません.

 

自民党はこれまで全く「国民」の方を向いて政治をしておらず,政治家個人のご都合主義で政治を行い続けている,その結果,増税・国民負担増が繰り返され,実質賃金は上がらず,暮らしは苦しくなっていく一方だ―――ということに対して平均的国民は多かれ少なかれ「怒り」を感じているわけです.

 

裏金問題は,そんな「国民不在のご都合主義政治」を象徴する事件として捉えられているに過ぎないのであって,もしも自民党政治が国民の暮らしが良くしているのだという実感(あるいは信頼)があれば,裏金問題などさして問題にはなっていなかったに違いありません.

 

つまり,国民は表面的には「裏金問題に対して憤っている」と言う様に見えるものの,その真の意味は,「自民党は国民を無視して保身のための政治ばかりをしているにも関わらず,“ネコババ”るようにして裏金を着服し,私腹を肥やしているなんて,なんてフザケた話しだ!」と,自民党議員達のその政治態度そのものに対して激しく憤慨しているわけです.

 

ですから,自民党が真に今なすべきことは,「裏金問題が起きないようにすること」という表面的な話しだけではなく,「国民のための政治を行い,国民を豊かにする」ということを真面目に全力で追求することなのです.

 

だから,石破氏は,裏金問題についての世論対策として「裏金議員の非公認・重複立候補金の禁止」などを打ち出しましたが,それでは真の世論対策などには全くなっていないのです.

 

石破氏はこうした「国民の気持ち」を理解することが出来ていないが故に,国民の気持ちを逆撫でするように,「ご都合主義」の内閣人事を行い,「ご都合主義」の解散を行い,「ご都合主義」の公認・非公認判断を行い, 「ご都合主義」の所信表明表明演説を行ったのです.

 

その結果,国民はますます自民党のフザケた政治態度に対する憤りを,石破氏本人に差し向けるに至り,内閣誕生直後であるにも関わらず石破内閣の支持率はわずか28%という前代未聞の恐るべき低水準となる一方,不支持率は30%という支持率を上回る水準にまで達する異常状態を迎えているのです.

https://x.com/SF_SatoshiFujii/status/1846828217082302759

 

とはいえ,素直に選挙をすれば自公過半数割れは確実なのですが,公明党・創価学会員の選挙協力の関係で,自公与党が過半数を割ることはなさそうだとも言われていますが…実際のところは選挙当日にならないと分からないというところが実情です(特に,各社の世論調査は電話が基本ですが,電話の場合は若年層が回答しない,そして若年層は自民に対して批判的である可能性もあったりするので,調査だけでは票読みができない可能性も高いのです).

 

いずれにしても,石破氏が自民に対する逆風の原因が単なる「裏金問題だ」とだけ思い続けている限り,国民世論から超絶に嫌悪され続けることを避けることは不可能でしょう.

 

そもそも「嫌われ者」というものは,自分が激しく嫌われていることをあまり気にもせず,かつ,嫌われている理由を全く理解しようとすらせず,だからこそより強烈に嫌われ続けていく,という構図にあるものです.そしてその構図は岸田氏において完全に成立していたわけですが,石破氏においても強烈に成立してしまっているようです.

 

いずれにせよ,今国民が求めているのは,岸田的でも石破的でもない「政策に対する真面目さ誠実さ」なのです.

 

高市早苗氏が総裁選で,当初「泡沫」とすら言われている中,党員票で最終的にトップに躍り出ることができたのは…

… … …(記事全文2,536文字)
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