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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

「自民党火炎瓶事件」に「民主主義が暴力に屈することがあってはならない」という当たり前のコメントをした石破総理に対してなぜ,多くの国民が「お前が言うな」というツッコミを入れたのか?

自民党が火焔瓶を投げ込まれるという事件が起こってしまいました.

https://news.yahoo.co.jp/articles/0e812f4f39457805777373ca060dda5997bf5c7f

 

我々日本国民は「公序良俗」を守る義務を政治家を含めたこの国に生きている全ての国民一人一人が負っている以上,我々はまず第一義的にこうしたテロは許してはならないという立場を鮮明にする必要があります

 

その意味において現在石破氏がその重責を担当している「総理大臣」が

 

「私どもは、民主主義がこういう暴力に屈することがあっては絶対にならないと思っている

https://news.yahoo.co.jp/articles/0e812f4f39457805777373ca060dda5997bf5c7f

 

と語った事について第一義的に是認する責務を負っています.

 

しかし…もしも,公序良俗を守るべき責任が誰よりも重い総理大臣をはじめとした政治家達が,公序良俗を乱しているのだとすれば…その時,我々はどう振る舞うことが適当なのでしょうか?

 

こうした疑問を持つ人々が,日本国内において必ずしも少数とは言い難いのではないかと予期し,上記に紹介したネットニュースの『コメント欄』を確認してみたところ, 10月20日午前9時現在において,もっとも「共感した」とのクリックが多い,すなわち,ネットを閲覧している日本国民が深く最も共感していると回答した「ベスト3」コメントはいずれも,いわば「案の定」の内容のコメントであったのでした.

 

すなわちそのベスト3(10月19日21時半現在)とは以下の3つです.

 

【第一位】

『暴力で現状変更するのはダメ。選挙の投票率が低いままなのだから、まだ正攻法で日本は変えられる。 とはいえ、明らかに暴力的な事件が増えた社会背景はしっかり考えないといけないと思う。 政治家が私利私欲に走る一方で、「食えない」人が確実に増えている。ここまで政治家がヘイトの対象になってしまっているということを、国会議員には深く考えてもらいたい。』(共感した1.3万)

 

 

【第二位】

『民主主義が暴力にとよく言うが、無論、それはその通りであるが、今の現状は民主主義に対する不満ではなく自民党の出鱈目な現状に対する不満と見るべきであろう。何故自分達にこの様な怒りの矛先が向かうかを考えることが先であり、仮に日本的な民主主義が崩壊するとするならば、それは自民党の間違った行いの数々の結果であると考えるべきである。正しい民主主義を継続するためにどうするべきかをよく考えて欲しい。』

(共感した8861)

 

【第三位】

『言ってることは確かにその通りなんたけど、その民主主義を破壊しているのは実は自分達なんだということに気がついていないところが、なんとも的外れである。不審感溢れる世論調査に、総裁選の驚愕の大逆転、他にもいろいろあるが、今回の選挙ではっきりと「民意」が示されることを期待し、自分も一票を投じる。』

(共感した7937)

 

この万単位の最大の「共感」を集めた三つのコメントはいずれも一様に民主主義がこういう暴力に屈することがあってはならないと言っている石破氏に,「まあそりゃそうだけど…お前が言うな!」と言うツッコミをいれるものだったわけです.

 

すなわち,国民は今,そりゃまぁ,テロはイカンものだが「政治家がヘイトの対象」になるくらいに「自民党の出鱈目な現状に対する不満」が我々国民の中に貯まっているあるのであって,だからこそ、そのテロ以上に「民主主義を破壊しているのは実は自分達(石破達)」じゃないかという気分を濃密に共有してしまっているわけです.

 

これは有り体に言うなら,今回の自民党に対するテロについては,さながら映画「ジョーカー」(米国社会に切り捨てられたが故にテロリストになった人物の映画)が多くの人々の共感を生んだように…

… … …(記事全文3,070文字)
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