… … …(記事全文3,041文字)「過剰医療」の問題は,政界を席巻する「緊縮財政」に勝るとも劣らぬ程の深刻な現代日本の最も本質的な病理です.
それは,次のような問題です.
すなわち,開業医や病院経営者,介護施設経営者,薬剤師,製薬メーカー…等の医療関係者の「金儲け主義」によって,ホントはやらなくても良い治療や入院,投薬を加速する「過剰医療」状況が医療介護界のあらゆる領域で横行し,第一に,かえって国民の健康が害され,(生物寿命そのものは伸びることはあったとしても)「健康寿命」が短縮され,幸福水準が大幅に下落すると同時に,第二に,財政支出・社会保障支出が肥大化し,それによって経済が衰退し,国民所得が下落し,国民の幸福水準がさらに下落する,という問題です.
要するに,医療界が偽善面しながら日本国家全体の強烈な「寄生虫」として日本国家の富を吸い上げまくり,日本国家が衰弱,衰微している,という問題が「過剰医療問題」なのです.
このあたりのお話しは拙著『過剰医療の構造』(https://www.amazon.co.jp/dp/4828426019/)で詳しく書いておりますので是非未読の方はご一読いただきたいと思いますが,今日は,この過剰医療状況を戦後日本で作り上げた「主犯」の一人ご紹介したいと思います.
現厚労大臣・武見敬三氏の父,「武見太郎」氏です.
武見太郎氏といえば,現役の医師の誰もが知る,日本医師会のドン中のドンでした.1983年に他界していますが,それまでの間に,
・日本医師会会長
・世界医師会会長
を歴任しています.戦前から厚生行政の各種審議会の委員を務め,戦後は吉田内閣のブレーンも務めています.
彼は彼なりの「思想」があり,「開業医は病床を措くべきでない」という持論や,厚生省に働きかけて漢方医療を保健医療に入れさせる等,当方としても賛同できる仕事もされているとは思いますが,「開業医の利益の拡大」を目指すその姿勢は,「過剰」なものといわざるを得ません.
そして,兎に角異論を認めない激しい独善性故に,医師会のみでなく,薬剤師会,歯科医師会にも支配的影響力を持ち,「武見天皇」と言われていたとのこと.
例えばこの動画での武見氏の暴言は酷いの一言.
https://x.com/SF_SatoshiFujii/status/1808120153567383563
どれだけひいき目に見ても,「医師が薬付けにしている…」という図星を言われ,ぶち切れて罵詈雑言を言い出しているとしか見えない動画です.
この横柄な彼の独善的な横暴が最も表れているのが,開業医の税制優遇制度を政府に認めさせた,というところ.何と言っても,開業医が支払う税金を徹底的に「ゼロ」に近づけるために,全国の医師をまとめて「ストライキ」を行い,自民党政権に「開業医の税制優遇」を認めさせたのです.
この「開業医の税制優遇」は,信じがたいほどに開業医に巨大な利益をもたらすものである,ということで,これまでも何度か廃止の議論がありましたが,未だに強烈に残存しています.
例えば現状の必要経費の金額は,下記となっています.
https://www.fp-soken.or.jp/fpnews/medical-fpnews/no217/
税金に詳しい人は,この表を見るだけで,怒髪天を突くお気持ちになるのではないかと…思います.
例えば,当方の友人の鹿児島で開業医をされている森田洋之氏は,ご自身の収益・税収について,以下のメッセージを送っていただきました.
「うちの場合、だいたい一年の診療報酬が…
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)