Foomii(フーミー)

藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

浄土と呼ばれた聖地・紀伊山地の山深い熊野三山の「本宮」に参拝。その主祭神・熊野坐大神(くまのにいますおおかみ)は、あらゆる俗世・宗教を超越した文字通りの「カミ」でした。

この度、かねてから、というかもう、当方が20代の頃からずっと行きたい…というか行かねばならないと思い続けてきた、熊野の「本宮」大社にお参りすることが叶いました。

 

日本には「熊野詣」の伝統があり、平安時代から、熊野三山という、

・熊野本宮大社(いわゆる、本宮

・熊野速玉大社(しわゆる、新宮

・熊野那智大社(いわゆる、那智大社

を、長い間、実に多くの人々が参詣してまいりました。古くは平安時代の宇多法皇が熊野詣に訪れている記録が残っていますが、それ以後、百回以上にわたって、歴代の法皇・上皇・女院が熊野の地に足を運んでこられたとのこと。

 

 

以前もご紹介したかも知れませんが、当方の師匠筋の一人にあたる、土木工学の世界で、「風土工学」を立ち上げ、風土をまもり、研き、伝承することの重要性を叫び続けられた佐々木綱先生が、若い研究者や関係者を連れて毎年、訪れていたのが、この熊野詣でした。

 

とりわけ、佐々木先生の専門は「道路」でしたから(したがって、当方も当然、「道路」の研究が専門となります)、「熊野古道」をしっかりと踏みしめながら数日かけて熊野山中を歩き、熊野三山にお参りするのは大変に重要な意味を持っていたのだと考えます。

 

…で、当方これまで、縁あって新宮に仕事で訪れた際に、新宮と那智大社に訪れたりしたことがあったのですが、「本宮」には参拝したことがなく、是非一度行きたいとかねてから思っていたところ、この度ようやく、参拝が叶ったという次第。

 

お恥ずかしながら、宇多法皇や佐々木綱先生らの徒歩と違い、自動車での参拝となりましたが昨日一日かけて、本宮から新宮、そして最後に那智大社にお参りすることができました。

 

熊野、とりわけ本宮に参っておりますと、俗世から離れた世界であることはもちろんのこと、これまで触れてきた宗教的なものが全て俗世的に感じられてしまう程の神聖さを感じてしまいます。

 

本宮は熊野坐大神(くまのにいますおおかみ)が主祭神の神社ですが、この熊野坐大神は実は、須佐之男命(日本列島をつくり、皇室の祖先であるとされるイザナギ・イザナミの子であるスサノオノミコト)だと言われています。しかも、このスサノオのミコトは、(仏教で言うところの本地垂迹説においては、本当は)阿弥陀如来と言われています。さらに言うと、阿弥陀如来というのは、浄土宗や浄土真宗のご本尊で、宇宙で一番エライ(笑)神だとされています。

 

ちなみに、スサノオは本宮では一番メインの神様ですが、イザナギ、イザナミ、アマテラスもまつられており、さらには、それら以外の全ての八百万の神全てが祀られています。

 

…ということで、本宮の神様は、トランプで言うところのロイヤルストレートフラッシュのような、麻雀で言うところの九連宝燈の様な存在なわけで、兎に角、何にしてもすっごくエライのだ! って事になってるわけです。

 

ちなみに、あれこれ調べて見ますと、昔は主祭神の熊野坐大神は、スサノオだとは見なされてなかったようです。そう言われるようになったのも結構最近で、江戸時代後期じゃないかという説もあるそうです。

 

じゃぁ、熊野坐大神の素性って何なのかっていうと、ハッキリしないのだということ。

 

ってことしゃつまりもう本宮という存在は…

… … …(記事全文3,364文字)
  • バックナンバーを購入すると全文読むことができます。

    購入済みの読者はこちらからログインすると全文表示されます。

    ログインする
  • ひと月分まとめての販売となります。1記事のみの販売は行っていません。

    価格:880円(税込)

    2024年5月分をまとめて購入する

今月発行済みのマガジン

ここ半年のバックナンバー

2024年のバックナンバー

このマガジンを読んでいる人はこんな本をチェックしています

月途中からのご利用について

月途中からサービス利用を開始された場合も、その月に配信されたウェブマガジンのすべての記事を読むことができます。2024年11月19日に利用を開始した場合、2024年11月1日~19日に配信されたウェブマガジンが届きます。

利用開始月(今月/来月)について

利用開始月を選択することができます。「今月」を選択した場合、月の途中でもすぐに利用を開始することができます。「来月」を選択した場合、2024年12月1日から利用を開始することができます。

お支払方法

クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、d払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払いをご利用いただけます。

クレジットカードでの購読の場合、次のカードブランドが利用できます。

VISA Master JCB AMEX

キャリア決済での購読の場合、次のサービスが利用できます。

docomo au softbank

銀行振込での購読の場合、振込先(弊社口座)は以下の銀行になります。

ゆうちょ銀行 楽天銀行

解約について

クレジットカード決済によるご利用の場合、解約申請をされるまで、継続してサービスをご利用いただくことができます。ご利用は月単位となり、解約申請をした月の末日にて解約となります。解約申請は、マイページからお申し込みください。

銀行振込、コンビニ決済等の前払いによるご利用の場合、お申し込みいただいた利用期間の最終日をもって解約となります。利用期間を延長することにより、継続してサービスを利用することができます。

購読する