… … …(記事全文2,294文字)昨日の長崎、東京、島根の衆議院の3つの補選は、今後の岸田政権、自民党政権、そして日本の行く末を占う上で重要な意味を持つものでしたので、大いに注目されていましたが、結果は自民党が三戦全敗、となりました。
長崎、東京は、自民が擁立しても絶対勝てないだろう…ということで、公認もせず、推薦すらとりやめるということで、完全なる「不戦敗」です。
島根は自民党が超絶に強い地域で、これまで日本で唯一、(少なくとも小選挙区制になって以降)自民党が衆議院選挙で「一度」も負けたことのない県。
ここなら、自民党に勝利の可能性もあるだろうということで、自民党は闘ったわけですが、見事な惨敗、
自民党議員の得票数の四割以上にも上る2.5万票もの大差を付けられて、立憲民主党の亀井氏に惨敗しました。
普通なら、ここまで自民党が負ければ、岸田氏責任をとって総理を辞任したり、辞めさせるために自民党内で「岸田おろし」の動きが起こるのが一般的です。ましてや、この結果を受けて解散総選挙なんてことは万が一にもなりません。
なぜなら、今のままの自民党なら、自民党はどこでも惨敗する可能性が非常に高いからです。あの保守王国、島根ですら負けたのですから、今、選挙になれば自民党が過半数を大きく割り込む可能性が非常に高いわけです。
だから、選挙を戦うには少なくとも、今、むしろ国民に激しく嫌悪されている岸田氏ではなく、別の総理を立てることが必須だ、という事になるわけです。
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しかし、岸田氏は全く辞めるそぶりはありません。そして、岸田下ろしの声も全く自民から聞こえてきません。
これはなぜなのでしょう?
そもそも岸田氏は、国民の利益などは当然のこととして、自民党の利益ですら、全く頓着せず、ただただ、自分が総理を続けるためには、何が最善か、と考える人物であることが危惧されます。
事実、先週発売された週刊文春で報道された、岸田総理のオフレコメモを見れば、安倍さんが亡くなっていこう、独善的傾向が拡大し、
・兎に角、何でもかんでも俺が決める。誰にも文句は言わさねぇ。
・今自民党の支持が低いのは、俺のせいじゃない。安倍派の奴等をはじめとした奴等が裏金問題をやってたからだ。だから、今回の補選で負けても、俺にはほとんど責任なんてないよ。
という趣旨の発言を繰り返している、ということが記載されています。
もしこの見立てが正しいとすれば、岸田さんが次のように考える可能性は十分考えられます。
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)