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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

今こそ、日本人は福沢諭吉「文明論之概略」を読むべし! ~読書ゼミ『死ぬまでに読みたい世界の名著』のご紹介~

数年前から、表現者クライテリオンでは読書ゼミ、というのを

『月刊・死ぬまでに読みたい世界の名著』

というタイトルで毎月開催しています。

https://in.24criterion.jp/24bc_teika 

 

この読書ゼミは、当方含めた編集委員(柴山桂太氏、浜崎洋介氏、川端祐一郎氏)の合計4人が、毎月一冊ずつ「世界の名著」を取り上げ、解説する、というもの。

 

四人で毎月、ということで、毎年当方、3冊ずつ、当方の人生の中で出会った大切な本を紹介しているのですが、今回取り上げたのが、

 

「文明論の概略」(福沢諭吉)

 

です。ゼミはまさにこれから(4月27日午後6時半~)なのですが、丁度いましがた、ゼミのために用意した資料ができあがったので、そのさわりだけ、ご紹介さし上げたいと思います。

 

この本は福沢諭吉の代表作で、最も有名な「学問のすすめ」が「青少年向けの本」として出版された書籍だとすると、「大人向けの本」として出版された本となっています。

 

出版は、福沢諭吉が42才の明治8年(1875年)。

 

その内容は文字通り、「文明」を徹底的に語ったものです。

 

当方、改めて今回読み返しましたが、この本は30才過ぎに読んだ時の感動が改めて蘇りました。で、この本を読んだから、今の私の言論活動があるのだなぁ…としみじみと感じました。

 

この本のストーリーは次のようなもの。

 

  1. 1)そもそも、今の日本(明治初期ですね)は、外国に植民地化されない程ヤバい状況にある。

  2. 2)この危機を乗り越えるには、日本が、欧米列強と同水準の文明国とならないといけない。
  3. そもそも今の日本(明治初期)は、野蛮国とまで低い水準の国とまでは言えないが、文明国と言える程立派な国じゃない。ちょうどその間の「半開」の国だ。

  4. 3)「半開の国」というのは、もうちょっと具体的に言うと、人々は自分で物事を考えて判断して生きているっていうより、世間的な「道徳」(なにが正しくて何が間違っているか)のルールを強固に社会に浸透させ、皆がそれを「頭で考えて判断してそれを選ぶ」というよりも「それがルールだからただただ守る」ということを通して秩序を保つという、いわゆる「野蛮の太平」状況にある国。

  5. 4)一方で、文明国とは何かというと、国民の「智徳」(智と徳)の水準が十分に高い国である。

  6. 5)知徳が高ければ、国内的には高い秩序が保たれ、経済も産業も発展し、外国に負けない経済力・産業力を手に入れることができ、その結果、欧米列強に支配されないで、「自国独立」を手に入れることができる。

  7. 6)だから、日本人よ、知徳を高め、「文明の太平」の国家である「文明国」に進化すべし!!

 

ただ、これだけの説明では、あまりピントこないかも知れませんが…さわりだけですが、諭吉が言っている重要な言葉をいくつかご紹介さし上げましょう。

 

「文明の外形のみをとるべからず、必ずまず文明の精神を備えてその外形に適すべきものなかるべからず」…

… … …(記事全文2,283文字)
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