… … …(記事全文2,610文字)この度、当方が研究者としてもどういう研究をしているのかについての取材があり、お答えしました。質問項目は以下の5つ。
・ご経歴と専攻分野
・専攻分野を選んだきっかけ
・専攻分野の主な実績
・専攻分野から日々の生活に活かせること(専攻分野を学んでいて良かったこと)
・専攻分野に関心のある方へのアドバイス(主に学生へ)
以下、一つ一つお答えしていきたい思います。
・ご経歴と専攻分野
自分は大学の専攻は都市社会工学の中の土木計画学というものです。これは経済学社会学心理学等の社会科学をベースとしてインフラ政策、経済政策、防災政策等の公共政策を考える学問です。これを専攻するようになった経緯は、第一に京都大学の土木工学科に入学し、四年生の研究室配属で土木計画系の研究室に所属し、そして第二に行動経済学を主体的に活用する学位論文をまとめたことが大きかったと思います。さらに第三に、学位取得後、経済学的な研究にさらに「人間」に関わる研究スキームを導入すべくスウェーデンイエテボリ大学の心理学科に留学したことが重大な意味を持っていました。そして第四に、留学から帰って来てから、人間の問題をさらに深く追求すべく、大学で教鞭をとる傍ら思想家・西部邁氏の私塾「表現者塾」に入塾し、主として保守思想や社会哲学を実践的な問題に重ね合わせながら学んだ事が決定的であったと思います。以上の研究経緯の課程の中で、自治体や政府の諸委員会、そして最終的には内閣官房参与として様々な政治、行政に対して実践的な助言、議論のとりまとめ等を重ねてきたことで、実践と研究の双方を調和させながら実践的研究、研究的実践が可能となっていったという経緯も、今日の当方の研究活動推進において不可欠なプロセスでした。
・専攻分野を選んだきっかけ
以上の様な経緯を辿ったのは偏に、皮相的、マニュアル的、点数稼ぎ的な「勉強」を徹底的に忌避する一方、真の学問は一体何を目指しているのであり、それぞれの学問活動がどういう深遠なる目的のための一歩一歩の活動になっているのかを明確に見据えようとする志があったからです。最初に土木工学科に入学したのは…
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)