… … …(記事全文3,104文字)今週、表現者クライテリオンの最新号、「不信の構造、腐敗の正体」が発売となりました!
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CYPFFW17
この特集を検討した際の企画趣旨は、以下の様なものです。
「今、日本では、各階層、領域における諸権力の激しい「腐敗」が次々と白日に下に晒されるという異様な光景が繰り返されている。
自民党の各派閥における「裏金問題」を巡る諸報道は国民の政治不信を極限にまで引き上げ、宏池会等の解散を導くに至った。木原元官房副長官の妻の元夫の不審死問題は「司法」の正当性、公正中立性に対する深刻な国民不信を導いた。一方で「行政」の雄である財務省の振る舞いはもはや既にカルトと違わぬと主張する『ザイム真理教』が未曾有のベストセラーとなる程に財務省の腐敗的体質に対する不信は巨大化している。そして、ジャニー喜多川や吉本興業のトップ芸人の性加害問題は、エンタメ界の「絶対的権力」の崩壊を導いた。
今、世間ではこうした腐敗対策の必要性が叫ばれ、そのために腐敗の温床となった組織・共同体の弱体化が無理矢理進められようとしている。自民党各派閥の弱体化や表層的ハラスメント規制がその典型なのだが、それでは事態は悪化する他無い。なぜなら今日の腐敗は組織・共同体の活性化ではなく弱体化によって進行したものでしかないからだ。
強制的に導入された「無機質な規範」でなく、有機体としての組織が内在的に持つ「有機的な規範」を強化した時に初めて秩序は形成される。この真実への配慮不在のままでは、公正で活力ある秩序の成立など望むべくもない。
ついては本誌ではこうした状況認識の下、日本社会で進行する「腐敗」、ならびに、その腐敗に対する国民の「不信」の構造を明らかにすることを目指し、「不信の構造、腐敗の正体」と題した特集を企画する事とした。そしてその中でそうした構造的な腐敗を乗り越えるために今、何が求められているのかを探ることとしたい。」
要するに、今、日本のあらゆる領域、つまり政治もエンタメも官僚組織も学会もメディアも財界も…皆、腐りきっていてて、それに皆も気づき始めたから「不信」が蔓延りまくっている、このままでは日本はますます崩壊していくことになる…これを乗り越えるにはどうしたらいいか考えたい、というのが、今回の趣旨です…
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)