… … …(記事全文2,497文字)先日もご紹介した、岸田総理の米議会での演説の中身がどれだけ酷いモノになっているのか…というお話しについて、改めて原稿をまとめました。簡潔にその出鱈目さをとりまとめています、是非、ご一読下さい。
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岸田首相は11日午前 日本時間12日未名アメリカ議会の上下両院合同会議で演説した。
演説の聴衆たる米国議員達からは概ね高い評価が寄せられ、原稿を読まずに自身の英語でスピーチする姿に好感を持った国民は多かったようだ。しかし、そうした立ち居振る舞いもさることながら演説の「中身」が重大な意味を持つことは論を待たない。そしてその「中身」を吟味すれば、それは米国国益に利するものである一方で、驚く程日本の国益を毀損するリスクをはらんだ「約束事」に満ち満ちたものであることが見て取れる。
まず、その全体のストーリーは次のようなものであった:「アメリカは世界の警察として世界の秩序を守ってきた。でも、最近は、中国の台頭やロシアの戦争等によって、米国の苦労も随分増えてきており、米国も困ってきている。だから米国の1番の親友である我々日本が友達としてあなたのこと助けてあげる。軍事的にも経済・産業的にも、日本が助けてあげる。」
すなわち岸田氏は、「米国は、経済力、外交力、軍事力、技術力を通じて、戦後の国際秩序を形づくりました。自由と民主主義を擁護し、日本を含む各国の安定と繁栄を促しました。」と断ずる一方、昨今の激動する世界情勢の中で、そのような重大な仕事を「一人双肩に背負うこと」が「孤独」であり「重荷」でありそれによってそれ故に「疲弊を感じている」であろうということを「私は理解しています」と宣言した上で、自分は「米国の最も親しい友人、トモダチ」として「米国の地域パートナーでしたが、今やグローバルなパートナーとなった」のであり、そんなパートナーとしての「任務に従事し、そして、なすべきことをする、その準備はできています」と断じたのである。
アメリカ人達はもちろん、こう言われれば諸手を挙げて喜ぶだろう。第一に、自分たちが世界中でやっていること全てを全面的に正しい「善行」だと断定されているのであり、第二に、その自分たちがやっている「善行」に対してカネも出すし汗もかくと言ってくれてるからだ。それを、衰えたとは言え未だに世界第四番目の経済大国の首相が、わざわざ自国議会のど真ん中で自国の言葉を使って宣言してくれてるのだ。文字通り特大の鴨が巨大なネギをしょってやってきたような話なのだ。
しかし、米国の所行全てが「全面的に正しい善行」だなんてことは、米国人達ですら思ってはいない。例えば民主党は共和党の、共和党の民主党の外交政策を批判しているのだ…
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)