… … …(記事全文3,124文字)今日は、ミッチェル教授の翻訳新著『ポスト新自由主義と「国家」の再生』の、出版記念シンポジウムを、ミッチェルさんをお迎えして、京都大学にて開催いたしました!
https://twitter.com/SF_SatoshiFujii/status/1720959150413283456
日曜の午後にも拘わらず、100名近くの方々にご参加いただきました。ご参加頂いた皆様、ありがとうございました!
今日のシンポでは、冒頭で当方から主催者挨拶(今回のイベントは、当方代表の京都大学レジリエンス実践ユニット主催で開催しました)をしてから、まず、ミッチェルさんに基調講演をしていただき、それに引き続いて、翻訳された中山智香子教授(東京外国語大学)と翻訳家の鈴木正徳さん、京都大学の柴山桂太さん、そして当方からそれぞれこの本についてプレゼンをしてもらった上で、皆さんで約1時間のパネルディスカッション。
もの凄く充実した議論ができ、大変意義のあるシンポとなりました。
ミッチェルさんと言えば、現代貨幣理論(MMT)の創設者。
そのミッチェルさんが、MMTとは直接関係の無い新自由主義を批判する書籍を出すなんて、どういう事だろう…とお感じの方もおられるかも知れませんが、ミッチェルさん曰く、この本こそ、本家MMTの根本思想をとりまとめた、正統派MMT論の本、とのこと。
お話しお聞きしてると、MMTという議論そのものが、日本では我々表現者グループが西部邁先生の時代からずっとやり続けてきた「新自由主義」を批判し、その弊害を超克せんとする試みのなかから生まれたのだ、ということがハッキリと理解できました。
MMTというと、アメリカのランダル・レイ教授の「MMT現代貨幣理論入門」が日本では有名ですが、ミッチェル曰く、ランダルレイ教授のMMT論は、ミッチェルとモズラーがその議論を始めた後に、その議論に触発された展開されたものだとのこと。
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784492654880
そしてミッチェルさんのMMTとランダルレイさんのMMTとはかなり異なるもので、どうやら、日本ではレイの入門書が売れたことから、「ケインズ理論的MMT論」が普及しており、したがって、新自由主義の超克、グローバリズムの超克という側面が今ひとつ理解されていない、ということのようでした。
そもそもレイさんは…
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)