… … …(記事全文2,429文字)岸田総理が、9月25日移行、「減税」を口にするようになりました。
曰く、「成長の成果である税収増を国民に還元すべきだ」「税や社会保障負担の軽減などあらゆる手法を動員する」なぞと言い出したのです。
これまで「岸田といえば増税メガネ」と言われるほどに、増税一辺倒で減税の事なんてなんにも口にしていませんでしたから、こりゃ一体どういう風の吹き回しだ? という空気が日本中に流れましたが…その中身を見れば、「なーんだ、やっぱ、その程度の話しだよな」と、妙に納得できてしまうようなしょぼしょぼの内容でした。
少なくとも現時点で岸田氏が高らかに宣言(9月25日)してるのが、以下の三つの減税措置です。
▼企業の賃上げを促す減税制度の強化
▼半導体を含めた戦略分野の国内投資や特許などによる所得を対象にした減税
▼ストックオプションをめぐる減税措置の充実
結論から言いますと、これらはいずれも、ビジネス周りの減税で、大半の庶民の関係の無い減税措置なのです。
一つ目の賃上げ減税、とは要するに法人税ですから、庶民には無縁。しかも、「赤字」で法人税を支払ってない大半の中小企業、さらにはその職員には、こんな制度は何の意味もありません。
二つ目の話しは投資減税ですから、やっぱり法人税。賃上げなら庶民とも関係する部分がでてきますが、投資は労働者には直接関係ありません。しかも、特許所得なんて貰ってるひとなんてほっっとんどいません。当方も特許はいくつかもってますが、それで所得なんて全く貰ってません。
最後のストックオプションってのは、自社株買いの話しなのですが、こんなものに関係する人はちょー一部、です。
ってことで、結局減税だ、なんて行ってますが、殆どの国民には関係のない、有り体に言ってしまえばどうでもいいような減税の話しだったのです。
しかも、この減税の話し、目的が「物価高対策」だとか「税収増の国民への還元だ」とかいってますから、短期的な話しです。そもそも、そのために「補正予算組む」なんて言ってますから、恒久的な話しじゃないのです。
っていうか、物価高対策や税収増の国民への還元だとかいってんなら、国民全体を対象にしろよ、と思いますが、上記のように減税は国民のごくごくごくごく一部のカネ持ちや資本家、企業を対象としたもの。これじゃぁ、国民への還元だっていいながら、国民からあ吸い上げた税金で一部のカネ持ち連中に金を恵んでやるっていう話しになってますから、嘘八百にも程がある、っていう話しですね。
その一方で岸田さんは、10月1日に庶民から金を吸い上げる消費増税であるインボイス制度の導入を断行。
第三のビール増税も断行。安いビールがこれで値上がり。物価対策やるっていいながら、嘘ばっかじゃねぇか、って話しになりますね。
しかも…
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)