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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

【腐敗国家・日本(その3)】ジャニー事件を「性加害」と呼ぶメディアの腐敗。これが欧米ならR・ケリーの様に凶悪犯として確実に司法で裁かれている。

先日のKBSラジオで、当方「ジャニー喜多川事件」の実態は、以下の性犯罪が数百、数千件と積み重なった複合的重大性犯罪であることを解説しました。

https://www.youtube.com/watch?v=KizOko0kw8c

 

1)レイプ(強姦):

本人の同意なく、「脅迫」や相手の「心神喪失」を通して強制された性行為は純然たる強姦となり、刑法によって厳しく罰せられます。ジャニー喜多川の事案の内、このレイプに法的に該当するものが数多く含まれます。「被害者」が同意していない限り、それは全てレイプと認定することになるからです。

 

2)淫行:

「18歳未満の青少年に対して淫らな行為をすること」が淫行と定義され、それは刑法で罰せられる犯罪です。ここで重要なのは、仮にその「被害者」が同意しており、レイプでなかったとしても、年齢が18歳未満であるなら、淫行という犯罪となる、という点です。したがって、ジャニー喜多川の被害者の実に多くにおいて淫行罪が成立することは確実です。

 

3)売春:

仮に被害者が同意しており、かつ、年齢が18歳以上であったとしても、ジャニー喜多川がその対象者を不特定多数の中から選び出し、そして、性行為の代償として何らかの利益を提供していれば、法的にはそれは「売春」となります。事実、性行の後には被害者に1万円を支払っていたという証言もありますから、それだけで既に売春という犯罪となります。さらには、「デビューさせてやる」「あの役につけてやる」などと言っていれば、立派な利益供与ですから、法的には売春として成立し得る事になります。

 

当方は刑法に明るくありませんから、これ以外にも多様な犯罪認定ができる可能性があり得ますが、少なくとも上の3つは確実です。

 

したがって、それは明確な犯罪なのであって、「性加害」などという言葉が持つ「軽い響き」ではとても表現しきれない深刻な大罪です。

 

それにも関わらず、一般的なテレビメディア等では、今日でもなお、この「性加害」という言葉が使われ続けています。

 

つまりここまでジャニー喜多川事件が明るみになっているにも拘わらず、メディア上には未だ「隠蔽体質」が濃密に残存しているのです。

 

事実、少なくとも当方は、上記のように本件は強姦・淫行・売春という複数の深刻な性犯罪で構成される「重大事件」であると解説していますが、少なくとも当方は、こういう言説を他の言論人達から耳にしたことが有りません(あれば是非、教えてください!)。

 

本当に、日本は腐りきった国だなと感じていたところ…こんな報道があることを目にしました。

 

『米歌手R・ケリー被告に禁錮30年の判決 性的虐待など』

https://www.bbc.com/japanese/61992292

 

これは、アメリカの最も有名なR&B歌手の一人であるR・ケリーが、性的虐待で禁固30年の計に書されている、という記事です。

 

R・ケリーというのは、1980年代半ば以降に最も成功したR&Bアーティストの一人です。かつ、世界中で7500万以上枚のレコードを販売する、世界で最も売れたスーパービッグスターの一人です。実際、雑誌『ローリング・ストーン』は、「間違いなく1990年代と2000年代で最も重要なR&Bの人物」と評していますし、多くの評論家は彼を「キング・オブ・R&B」と呼んでいる程の大物。

 

しかも彼はシンガーとしてだけでなく、若手歌手のプロデュースでも成功を修める、アメリカ音楽界の大重鎮だったわけです。

 

しかし、彼はそんな「優先的な地位」を使って、何十人もの女性に「違法」な性的虐待を繰り返したそうです。

 

それにも関わらず彼の周辺には、世界的な人気を誇る彼の存在を利用してビッグマネーを稼ぎ続ける「有力者」がおり、その「有力者」が暴力的な量のカネの力を使って、その罪を隠蔽しようとしていたようです。

 

こうした状況は、ジャニー喜多川と類似した構図を持つものだと言うことができるでしょう。しかしR・ケリーは「法の下での平等」の原則、すなわち、「法的正義」の下、アメリカ国家における司法制度によって… 

… … …(記事全文3,394文字)
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