Foomii(フーミー)

藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

【「魚の骨たき火」奄美レポート】「たき火」には「世界の不如意」と「人間の意志」の全てがあらわれている。

あれこれ日記に書こう書こうと思っている内に、毎年恒例の研究室の奄美大島合宿になってしまい、ご無沙汰していたしてしまいました。僕個人は奄美にかれこれ四半世紀以上、磯釣りのためにずっと通っているのですが、10年ほど前から、研究室の学生さんにも「来たかったらおいで」と言って、是非遊びに行きたいですという学生さんがいたら連れて行ってあげる、ということをしています。

 

研究室合宿、といっても全くゼミもレクチャーも何も無し。ただひたすらに磯釣りしたり、シュノーケリングで遊んだり、釣った魚でバーベキューしたり、といった完全な遊びの二泊三日です。

 

で今、その帰りの飛行機。本土に戻ればまた、毎日あれこれ忙しい時間となってしまいますが、もう今日からいつも通り、というか、奄美で養った英気をつかってますますバリバリと頑張りたいと、思っているところで、まずは日記を書いてみようと思った次第です。

 

毎年あれこれ楽しいことが多いのですが、今年は何と言っても、シュノーケリングでウミガメが見れたこと!

 

砂浜から1,2分泳いだところになななんと、でっかいウミガメが海底の海藻をむしゃむしゃ食べてたのです!

 

こりゃ凄い、ってことでずっと見てたら、15分に一度の息継ぎの時間になったので、何と目の前に浮上してきました。

 

インストラクターさんに触っていいかと伺うとOKとのこと、まず甲羅を触り、首を触り、頭をなでてあげてから、甲羅を両手でしっかりとつかんで一瞬ウミガメさんに引っ張ってもらえる状況に! ホントこりゃ凄いわって思ったのもつかの間、また、海底の海藻に戻り始めました。こりゃヤバい、ってことで早速手を離しましたが、当然ですが凄い推進力でしたです。

 

奄美で釣りをしてるとだいだい毎回撒き餌に寄ってくるのですが、実際に触ったのは初めて。生涯忘れ得ない瞬間、の一つとなりましたですね。

 

釣りの方は今回はいまいち…で5キロや6キロの大物はつれなかったのですが、まずますの釣果。アコウ(ネバリ)やヒメフエダイ等、が底物でかかりました。アコウはいつも通り、大変美味でしたが驚いたのがヒメフエダイ。沖縄では貴重な食料として大変に大切にされる超高級魚、とのこと。刺身やフライで頂いた他、アラ(裁いた後に残った骨。刺身やフライで食べる部分は全体の身の一部で、結構、さばいた後の骨には一杯お肉が付いているのです)をバーベキューしましたが…これがまたメチャクチャ美味!

 

いわゆるノドグロと同じような程に脂身が乗っていて、学生達も大喜び。

 

ちなみに今年は、足下でミノカサゴが泳いでたので、これって網ですくえるかも!?ってことでトライしてみたところ、いとも容易く網の中に収まりました。多分、凄いデコレーションをつけて泳いでいるので、全く機敏に動けないのでしょう。

 

ちなみにミノカサゴも超高級魚。あれこれ食べ方を考えましたが、オーソドックスに煮付けにしていただきました。もちろん、素晴らしい味でした。

 

その他、アイゴやグルクン、コロダイ(とおぼしき物)など、たくさんの魚を学生達とあわせて8人で、煮付けにしたりバーベキューにしたり、コンロを使って炒め物やスープや雑炊にしたりして、屋外のバーベキューの炭火を囲んで、20匹近く平らげました。

 

で、おおよそ食事がおわりになったころ、隣のバンガローに泊まってたお客さん達がたき火を始めました。

 

「あ、あれいいよな。そういや、こないだ宮台真司さんとしゃべってたとき、どうしようもないクズを何とか再生させる効果的な方法には少なくとも二つあって、一つがバッタ獲りで、もう一つがたき火だ、っていってたなぁ。たき火やりたいよなぁ。」

 

なんて事を口にしてたのですが、問題は燃やす物が何も無い、というところ。

 

隣の方は槇を割ってガッツリたき火の準備をしてこられてたようなのですが、我々にはそういう準備はありません。

 

「だったら、この余った大量の魚の骨で、たき火できないか???」

 

なんて無謀なことを口走ったところ、物好きの学生の一部が「やりましょうやりましょう!」なんて言い出したので、「魚の骨たき火」を始める事になりました。

 

が、我々のイメージとは異なり…というかよくよく考えれば案の定としか言いようがない話しですが、骨なんて全然燃えやしないわけです。

 

我々には、バーベキューの残りのいこった炭がある程度あるのですが、その炭の力をもってしても、骨が「燃え上がる」なんてことは全くないのでした。

 

というよりむしろ、煮付けで残った骨なんて水分が一杯だし、バーベキューで残った骨には、実はまだまだ大量の身や内臓の一部が残っていたりしますから、全くもってたき火やろうなんて絶望的に土台無理、な話しだったのです。

 

それでも、一旦はじめちゃったので、何とか骨を全部炭化しちゃおうじゃないかということになり…

… … …(記事全文4,328文字)
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