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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

岸出氏の「緊縮のままの最低賃金1500円引き上げ目標」は、「百害あって一利なし」の単なる愚策。

岸田総理は1000円程度の現在の最低賃金を2030年までに1500円にするという目標をぶち上げましたが…言うまでも無くこれもまた、中身スカスカの「やってる感」を出すためだけの発言。というよりむしろ、百害あって一利なし、としか言いようのない、単なる「愚策」に過ぎません。

 

そもそも最低賃金だけをいくら上げたって、デフレがおわってインフレにならない限り、国民の賃金が全体的に上がっていくことなどあり得ないのです。

 

こちらのグラフを見てください。これは、2002年から今日にいたるまでの最低賃金(全国平均)と給与所得(事業所規模5人以上平均)の推移です。

ご覧の様に、最低賃金は、ずっとコンスタントに上がってきています。2002年には、650円強だったのが、昨年には約1000円にまで引き上げられてきているのです。

 

ところが、肝心の所得の方は、全く増えていません。むしろ、2002年のころにはおおよそ34.5万円あったのが、31.5万円程度にまで下がってしまっています。昨今では若干の揺り戻しで幾分上がってきてはいますが、それで、32.5万円程度ですから、20年前に比べれば、おおよそ2万円も引き下がっているのです。

 

つまり、最低賃金は「350円」も爆上がりしたのに、肝心の給与所得は「2万円」も下がってしまっているのです。

 

ですから岸田総理が昨今、何度も口にしている「賃上げ」という目標を実現するにあたっては、最低賃金の引き上げの影響は極めて小さい…というか、事実上何の効果もないのです。

 

「なんでそうなるの!?」…というところですが、そもそも最低賃金で働いている人は…

… … …(記事全文2,141文字)
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