… … …(記事全文3,479文字)キャンプデービットで、日米韓首脳会議が開催されるということで、岸田総理が日本を飛び立ちました。これまで日米韓首脳会議!は幾度となく開催されてきたが、それらはいつも、G7等の国際会議があった際の「ついで」に行われてきたもので、今回のように「単独」で開催することは初めてとのこと。
今回こうした「歴史的に初めてのこと」が行われたのは、虚構等に安全保障状況が大変に厳しいものになってきた、ということを反映してのモノです。
北朝鮮は幾度となくミサイルを発射すると共に、中国の台湾への圧力が年々高まりつつあります。
こうした状況に対応するには、日米、米韓の同盟を強固にするのみならず、日米間の参加国が強固に協調していくことが必要であり、それ故に、今回「歴史上初めて」の単独参加国首脳会議が開催される運びとなった、という次第です。
しかもこの会談お背景には、前大統領の文在寅大統領期には、「レーダー照射問題」に象徴される、日韓における軍事的「敵対」状況があった一方で、尹錫悦大統領になってから、急速にそうした敵対状況が緩和され、日韓での軍事協調が進展しやすい環境になってきた、という経緯もあります。
…というのが、この参加国首脳会談の一般的かつ表層的な解説ですが、実際には、日本の主権やメンツ、国益を度外視し、米国の意向をそのまま鵜呑みする帰結として実現したのが、今回の日米間首脳会談だと考えざるを得ません。
そもそも、レーダー照射問題について韓国はその事実を認めておらず、日本側が持っている事実と乖離した声明を出し続けています。これはつまり、韓国側は、文在寅がつきつづけたウソを、尹錫悦は踏襲し続けているのです。
レーダー照射とは「攻撃」に準ずる行為で、しかも、その「攻撃」は、文在寅大統領手動でさだめた「基本方針」に基づくものですから、日本政府は韓国から「大統領の医師に基づいて攻撃された」のに、韓国は「そんなことはしていない」と言い続けているわけです。
そんな状況を放置したまま同盟関係など結べる筈がないわけで、綿密な軍事的協調関係を構築するなら、韓国側はその事実を認め、謝罪し、二度と再発はあり得ないと確約してもらうことが必要です。
ところが、岸田総理はそうした手続きをすっ飛ばし、「無かったこと」にして日米間の軍事的協調を加速しようとしているわけです。
これでは日本のメンツは丸つぶれ、です。
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)