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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

『日本は必ず滅びる』という哀しき認識こそが、全力で日本を守らんとする「保守」において何よりも大切である ~「小室圭」問題によせて~

ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00178/2021112909263187947 //////////////////////////////////////////////////////////////// 藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~ https://foomii.com/00178 //////////////////////////////////////////////////////////////// 本日、社会学者の宮台真司先生と、「日本再生のために何が必要なのか?」というテーマを軸に、3時間超、対談をいたしました。この対談は今、当方と宮台先生とで企画している共著に掲載することを企図して行ったものなのです。 もちろん当方、宮台先生のことは、西部先生と様々に対論されてこられた経緯なども含めて、長らく存じ上げてはいたのですが、直接お目にかかったのはつい先日のことで、表現者クライテリオンでの今年の5月の対談企画の時でした。 その対談は当方にとって大変に楽しく意義あるものだったものですから、その直後には、当方のMXテレビでの番組にもゲストで出て頂きました。その企画も大いに盛り上がり、一度ならず二度までもかみ合う形で面白く議論できたものでしたから、どうせなら「出版企画」を是非ご一緒しましょうということとなり、本日の対談となった次第です。 対談は実に多岐に及び、冒頭で唐突にキリスト教の贖いや原罪の議論から始まったのですが、それ以後、「日本再生」に向けた社会学、社会心理学、マクロ経済学、社会哲学等の学術的議論をベースに、「まちづくり」や「くにづくり」、教育、さらには、映画、芸術、ドラマ、ゲームなど、幅広く議論いたしました。 詳細は是非、出版までお楽しみにお待ちいただければと思いますが、本日はその中でも一つだけ、以前からそう認識していたものの、改めて深く認識できた事がありましたので、その点について、改めてここでお話ししたいと思います。 それは、まさに本稿タイトルにした「『日本は必ず滅びる』と深く認識することこそが、日本を護るために一番大切である」という点です。 普通、多くの保守の立場の方々は、日本を護り、保守することを目的としており、文字通り「千代に八千代に」、すなわち、半永久的日本が存続し、繁栄し続けることを目標としています。だから、「日本が必ず滅びる」という前提を置くのは、「不謹慎じゃ無いか」、なんていう風に思ってしまいがちになります。 ですが、逆に「日本が絶対に滅びることは無い」という前提をおいていたすれば、誰も真剣にそんな日本を守ろうとは為なくなるでしょう。 例えば、先週紹介した楠木正成公は、「七生報国」、つまり、皇統を守り抜くために七度生き返って朝敵を滅ぼすという言葉を残していますが、それだけの激烈な思いは、日本が滅びるやも知れぬという危機感を持つからこそ生まれてくると言う他ありません。つまり楠公が皇統を全力で守り続けねばならぬという気持ちを持っていたのは、皇統というものがまさに小さな菊の花のような淡くひ弱な存在であると認識していたからです。 こう考えれば「日本は滅びるかも知れない」という認識こそが、保守の前提条件である、という構図が見えてきます。 女性というものがひ弱であると考えるからこそ、女性を守るために男は強くならねばならぬ、と考えるのです。心身共にゴリラのような絶対に死なない逞しすぎる女性に対して、誰も守らねばとは思わないのです。
… … …(記事全文5,478文字)
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