■マスコミは、山上徹也による事件の動機の核心である安倍晋三と統一教会との関係の認識について、「勘違い」とか「一方的な思い込み」とか「逆恨み」の言葉を当てて説明している。この報道は明らかに間違いであり、真実を隠して捻じ曲げるスリカエである。安倍晋三を擁護するための欺瞞の弁法だ。容疑者は、安倍晋三が統一教会の広告塔であり、日本におけるシンボル的存在だから命を狙ったのであって、容疑者の動機と行動に矛盾はない。不明瞭な点はない。容疑者は、統一教会に復讐を果たすべく20年以上統一教会を研究したのであり、20年越しの執念の計画が実行されている。 山上徹也の方が、そのへんのマスコミ記者よりよっぽど統一教会について詳しい知識を持ち、よく調べて内実を承知しているのだ。本日(7/13)、紀藤正樹がモーニングショーで言っていたように、山上徹也の犯行の目的は統一教会を壊滅させることである。教団を潰すことだ。目的達成のための最短で最適の方法として選んだのが、安倍晋三の暗殺に他ならない。事件を客観的総合的に分析すれば、きわめて合理的な戦略が描かれ、効果が想定されていたことが分かる。今回の事件により、統一教会は表に引っ張り出され、組織が叩かれ、日本では布教活動の継続が困難になった。 ■容疑者の動機は「恨みを晴らす」という個人的なものだが、同時に、カルトの宗教教団を崩壊に追い込んで被害者全員の仇を討つという意義も含まれている。事件から6日経つけれど、容疑者は安倍晋三への謝罪を口にしていない。標的に据えたこと、銃撃し殺害したことを「筋違い」だとか言っていない。広告塔の安倍晋三への憎悪を否定せず、首尾よく成敗できた結果に満足している。容疑者において統一教会=安倍晋三なのであり、そして、その認識と判断は客観的に正しい。その意味では、今回の行動には社会性が認められ、公憤の代行としての(広義の)テロリズムの側面を看取していいだろう。 問題は、統一教会=安倍晋三の認識についての検証である。私の結論は「正しい」だが、マスコミはそれを「勘違い」「思い込み」だとして否定している。容疑者の観察と論理に従えば、安倍晋三のような権力者が統一教会をエンドースし、一体化して宣伝しているから、市民一般が錯覚して接近し、無害な宗教団体だろうと信用してしまうのである。マルチ商法のジャパンライフの広告塔に安倍晋三がなり、詐欺事業に手を貸したのと同じだ。ジャパンライフ事件では多くの被害者が出て、マスコミは安倍晋三の責任を追及した。被害者にとってはジャパンライフ=安倍晋三である。統一教会も同質同類ではないか。… … …(記事全文2,178文字)
世に倦む日日
田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)