■昨日(6/21)行われた参院選前の党首討論会を聞いたが、金融政策で円安に歯止めをかけよという政策を、どの党首も言わなかった。物価高に対して、財政出動あるいは消費減税で対策することを公約に据えて訴えている。誰も為替対策について言及しない。日米の金利差が円安の原因であることを議論の場に載せず、話を逸らしている。野党含めた全党の暗黙の了解として、金利に手を付ける議論は避けるという合意があることが窺える。岸田文雄は、日本の物価高騰の原因は、60%がエネルギー価格にあり、20%が食料品価格にあると言い、そこに手当すればいいと説明した。 原因と結果を意図的に混同させた論点逸らしを言っている。問題をスリカエて口先で逃げている。円安が収まらなければ、海外から輸入する原材料は上がるばかりではないか。しかし、その本質的な矛盾と欺瞞を野党どころかマスコミも全く衝かない。真実はは、金融政策については日本は基本的にお手上げで、金利を上げるという選択ができないのだ。だから、与党も野党も、金融政策はパス(不接触)で、見ないようにしていて、国民にも見せないように隠しているのである。金利を1%上げると歳出の国債費が4兆円増える。2%上げると8兆円増える。予算が組めなくなる。 ■が、有効な為替対策が何もないかというと、そんなことはなく、金利の上下調節だけが金融政策ではない。具体的に言えば、口先介入という手段があり、その次に為替介入の市場操作がある。80年代から90年代にかけては頻繁に行われた。今回、対ドルのレートが20円も急激に安くなり、国民生活に大打撃を与えているのに、財務相が口先介入の手を打たないのが不思議だ。普通なら、鈴木俊一がイエレンと電話会談し、今の為替相場は不正常だと明言し、日本の国益に有害だとして市場に牽制をかけ、円売りにブレーキをかけるものだ。 1ドル120円までが妥当な線だと政府が目標値を言い、米当局もそれを支持していると日米連携を強調し、過剰な円安を日本政府は容認しないと釘を刺すものだ。その上で、これ以上(投機家が市場で)円売りするなら適正水準に戻るまで断固介入すると強く言えばいい。それが口先介入という為替政策である。日米間でその合意ができ、協調した発信ができれば、口先介入は効果が出て市場は円売りを止める。ところが、今回、日本政府はその動きを全く見せず、野党はその行動を要請しない。立憲民主党や日本共産党が選挙討論でその点を指摘しないのは、頭が呆けているからだろう。… … …(記事全文4,733文字)