━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2012/06/06 野田佳彦首相の勤務評定 第248号 ──────────────────────────────────── 消費増税案を推進している主体は財務省である。 財務省は2009年の段階から、2010年から2012年の間に消費増税を決定する図式を描いた。 その理由は、2009年後半に総選挙があると仮定すると、2010年夏から2013年夏までの3年間は、衆議院の解散がなければ、国政選挙のない、空白の3年間が生まれることにあった。 国民に不人気の消費増税と、国政選挙とをできるだけ切り離すことが大事だと財務省は考えるのだ。 2009年の年初、政権を担当したのは麻生太郎政権である。 財務省はこの麻生政権に消費増税の方針を提示させた。 麻生政権が増税方針を決めて、財務省に具体化させたのではない。 財務省が決めて、麻生政権に法制化させたのである。 この結果として作り出されたのが所得税法附則104条である。 2009~2011の3年度間に景気回復を実現させ、2011年度中に消費税を含む税制上の措置を講じることを法律に明記した。 ところが、財務省の戦略に大きな誤算が生じた。 民主党の小沢氏を政治謀略で攻撃し、小沢氏の影響力を排除したまでは計画通りだったが、小沢氏が2009年5月に民主党代表を「引責辞任」ではなく、「選挙妨害に対抗するための辞任」との説明を付けて辞任したため、小沢氏の影響力を排除できなかったのである。 私は、この時点で、猛烈な働きかけを行った。 鳩山由紀夫氏に、次の衆院任期中には消費増税を行わないことを政権公約に掲げることを強く提唱したのである。 鳩山氏は消費増税封印を明示して代表選を戦った。代表選に出馬した岡田克也氏は消費増税を否定せずに代表選を戦った。 代表選に勝利したのは鳩山由紀夫氏だった。 2009年8月の総選挙で民主党は歴史的勝利を収めた。 「シロアリ退治なき消費増税阻止」の旗を掲げて総選挙を戦い、見事に勝利を収めた。 この時点で、所得税法附則104条を凍結する法的措置を取ることが必要だった。これを意図的にサボタージュしたのは財務省である。 財務省は所得税法附則104条を消滅することを選択する代わりに、鳩山首相を消滅する選択をしたのである。 この意思決定を後押ししたのは米国政府である。米国は普天間の辺野古移設を阻止しようとする鳩山‐小沢ラインを切り捨て、菅-岡田ラインに政権を担わせることを決定した。2010年2月3日にこの方針が韓国のキムソンファン外交・安保首席秘書官に米国務次官補が伝えられた。これをウィキリークスが暴露した。… … …(記事全文4,733文字)
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植草一秀(政治経済学者)