━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2012/01/06 この国を支配する悪の三角形との死闘 第98号 ──────────────────────────────────── 2012年の政局変動の軸になるのは、恐らく消費税問題であろう。 最大の矛盾は、消費税増税封印を政権公約に掲げた民主党が、適正な手続き を経ずに、消費税増税を具体化して強硬に推進していることにある。 その首謀者である野田佳彦氏が、2009年7月14日に声を張り上げた。 「私どもの調査によって、ことしの五月に、平成十九年度のお金の使い方でわ かったことがあります。二万五千人の国家公務員OBが四千五百の法人に天下 りをし、その四千五百法人に十二兆一千億円の血税が流れていることがわかり ました。 これだけの税金に、一言で言えば、シロアリが群がっている構図があるんで す。そのシロアリを退治して、働きアリの政治を実現しなければならないので す。残念ながら、自民党・公明党政権には、この意欲が全くないと言わざるを 得ないわけであります。 わたりも同様であります。年金が消えたり消されたりする組織の社会保険庁 の長官、トップは、やめれば多額の退職金をもらいます。六千万、七千万かも しれません。その後にはまた、特殊法人やあるいは独立行政法人が用意されて、 天下りすることができる。そこでまた高い給料、高い退職金がもらえる。また 一定期間行けば、また高い給料、高い退職金がもらえる。またその後も高い給 料、高い退職金がもらえる。六回渡り歩いて、退職金だけで三億円を超えた人 もおりました。 天下りをなくし、わたりをなくしていくという国民の声にまったく応えない 麻生政権は、不信任に値します。」 つまり、民主党は、消費税増税の論議に入る前に、官僚の天下り・わたり利 権を根絶することを政権公約に掲げたのである。 主権者である国民と民主党とが交わした契約はまったく変更されていない。 契約変更の手続きも取らずに、野田佳彦氏は契約内容を全面的に改竄している のだ。 民間企業であれば、クレームが殺到して、この企業は間違いなく倒産すると ころだ。 自民党は消費税増税を政権公約に掲げて総選挙を戦った。その結果、選挙に 大敗したのだが、消費税増税反対を掲げて大勝した民主党が、突然、大増税提 案をするから賛成しろと言われて、素直に応じられるわけがない。… … …(記事全文6,871文字)
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植草一秀(政治経済学者)