━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2012/01/05 2012年消費税政局の焦点 第97号 ──────────────────────────────────── 2012年の日本政治はどのような推移をたどるのか。 国民生活の視点から何よりも重要な問題は消費税である。 2009年8月、2010年7月の直近2度の国政選挙において、最重要の 争点になってきたテーマである。 2009年8月総選挙では、消費税増税を公約に掲げた麻生太郎自民党と消 費税増税を2013年の任期満了までは封印するとした鳩山由紀夫民主党が正 面から対立した。 麻生太郎自民党は所得税法附則104条まで整備して、消費税増税実現に向 けて、満を持した選挙戦に挑んだ。 結果は麻生太郎自民党の惨敗に終わった。 主権者国民は、増税を検討する前に天下り根絶を軸にした政府支出の無駄排 除を優先するとした鳩山由紀夫民主党の政権公約を選択したのである。 2010年7月参院選では奇妙なことが発生した。消費税増税を封印した民 主党代表の菅直人氏が、6月17日のマニフェスト発表会見で突然、消費税増 税を参院選の公約に掲げたのだ。 これは民主党国会議員にとっても寝耳に水の菅直人氏の暴走だった。財務省 官僚から消費税増税で歴史に名を残すのが名宰相の条件だなどと甘言を示され、 思慮なく乗った結果であると思われる。 しかし、主権者国民は冷静だった。 菅直人民主党は惨敗した。 菅直人氏および側近は、参院選が菅直人内閣に対する信任投票であると明言 した。菅直人氏は自民党が首相をたらい回ししていた時に、国民の信を受けて いない内閣には正統性が無いと強く批判していた。 このことを踏まえて、菅直人氏は2010年7月参院選を菅内閣に対する信 任投票であると位置付けたのである。その意味は、参院選で民主党が勝利すれ ば、菅内閣が国民から信任されたことになり、民主党が敗北すれば、菅内閣は 主権者国民から信任されなかったことになるということだ。 菅直人民主党が参院選で惨敗したことは、菅直人新首相が主権者国民から信… … …(記事全文4,966文字)
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
植草一秀(政治経済学者)