━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2011/12/18 日本御用放送NHKの民主化が急務 第79号 ──────────────────────────────────── TPRと呼ばれる言論統制事業がある。 この事業は1986年に発足した。 TPRとはTAXのPRと言う意味である。大蔵省財政金融研究所研究部に 事務局が置かれた。事務局長は当時の財政金融研究所次長である。 TPRを創設した目的は売上税導入を成功させることにあった。 中曽根政権は売上税を創設する一方、所得税、法人税の減税を提案しようと した。増税額と減税額を同規模にするレベニュー・ニュートラルの前提が置か れた。 当初は売上税と言う名称が決まっていなかった。 大蔵省内部ではこれをKBKという符牒で読んだ。 「課税(K)ベース(B)の広い間接税(K)」 を略してKBKと呼んだのだ。 TPR事務局では、まず、政界・学界・財界3000人リストを作成した。 税制論議に影響力のある3000人を選び出した。 そして、この全員に大蔵省職員が説得工作を行った。事務局は3000人リ ストを作成し、それぞれの名前の右側に日付とマークを書き込める表を作成し た。何月何日、大蔵省の誰が説得工作に行って了解を得たか、あるいは得られ なかったかを記入する。 3000人の説得が終了するまで説得工作は続けられた。 他方、TPRウィークリーが作成された。1週間の間の新聞、テレビ、週刊 誌、月刊誌、単行本における主張、論評が検閲の対象とされた。売上税賛成論 と反対論とに分けて、人物を分類する。賛成者は売上税導入の太鼓持ちとして 活用する。反対者はブラックリストに載せて説得工作の重点対象とした。 さらに、テレビ局、新聞社、広告代理店の最高幹部を対象に、築地吉兆など を使用しての高額接待が展開された。マスメディアを上からコントロールする ための工作活動である。もちろん、国民の血税を用いての高額接待だ。 結局、1986年の売上税構想は1987年に入って挫折した。土井たか子… … …(記事全文5,878文字)
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植草一秀(政治経済学者)