━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2011/12/02 財務省野田連合の金権腐敗政治を打破せよ 第63号 ──────────────────────────────────── 11月27日に放送されたNHKスペシャル 「シリーズ原発危機 安全神話 ~当事者が語る事故の深層~」 「国・東電の歴代幹部150人がいま真相告白 “原子力村”で何が?失敗の本質は?」 が重要事実を隠蔽したとの記事を掲載した。 しかし、ブログにはその具体的内容についてまでは記述できなかったので、 改めて核心部分を公開しておく。 NHK番組は、東電が2008年に10メートルを超える津波襲来の可能性 を認識したが、その報告を政府に提出したのは2011年3月7日であったこ とを紹介して番組を締め括った。東電福島第一原発が津波の襲来を受けたのは、 そのわずか4日後のことだ。 このこと自体は事実である。しかし、この事実だけを紹介すると、番組視聴 者は次のように受け止めるだろう。東電は2008年に問題の存在を認識し、 2011年に政府に報告したが、報告直後に津波に襲われてしまった。3年も のブランクがあることは問題だが、政府への報告直後に津波に襲われたのであ り、津波の襲来が少し後ろにずれていたら、事故は回避できたのかも知れない。 つまり、東電は対応の遅れはあるものの、方向としては適切な方向に対応し ており、政府が問題の報告を受けた後に、しかるべき対応を取ったのであれば、 事故が回避される可能性もあった。 このように視聴者は捉えてしまうだろう。恐らく、番組制作の狙いはここに あるのだと思われる。東電と政府の責任を事実よりも軽く見せること。 しかし、これは正しい報道でない。偽装報道と言ってよいだろう。私に寄せ られた意見にも、日常、さまざまな問題に強い関心と注意力を持たれているよ うな方であるのに、今回のNHKの技法には騙されてしまったとの感想が記さ れていた。 どこに偽装があるのかというと、東電が問題を認識した2008年から20 11年までの間に、あるいはそれ以前から、福島第一原発の津波対策が不十分… … …(記事全文8,576文字)
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植草一秀(政治経済学者)