… … …(記事全文7,274文字)読売新聞15日発表の「安定的な皇位継承に向けた提言」は、31年前の「読売憲法改正試案」を超えるほど起爆力のある提言だった。議論は大詰めのところまで行き着いていることを示している
◆〔特別情報1〕
読売新聞は15日、「皇統の安定 現実策を…皇族減 典範改正が急務[読売新聞社提言]」という見出しをつけて次のように報道した。
「皇族数の減少が深刻だ。皇位継承権を持つ皇族は3人となり、皇統の存続が不安視される状態が続いている。安定的な皇位継承の確保は先送りできない政治課題となっており、与野党は衆参両院議長の下で行われている協議で今国会中に結論を得なければならない。読売新聞社は4項目の対策を提言する。
(中略)
ただ、皇統の存続を最優先に考えれば、女性皇族が当主となる『女性宮家』の創設を可能にし、夫や子にも皇族の身分を付与することで、皇族数の安定を図ることが妥当だろう。皇室のあり方を定めた法律である皇室典範は女性皇族が結婚した場合、皇族の身分を離れるとしているが、早急に改正する必要がある。
象徴天皇制は戦後、国民に定着し、太平洋戦争の戦地を訪れて慰霊したり、災害現場で被災者に寄り添ったりする皇室の活動は深く敬愛されている。皇室典範は、天皇の地位は『男系の男子である皇族』が継承すると定めているが、男系男子にこだわった結果、皇室を危うくさせてはならない」
読売新聞は1994年11月「読売憲法改正試案」に始まり、過去32本の「提言報道」を世に放ってきた。今回の皇位継承問題についての提言で33本目となる。なかでも1994年11月の「読売憲法改正試案」は、かなりセンセーショナルだった。当時、元副総理で元法相の後藤田正晴氏が、ある民放のテレビ番組において、「いまどうして憲法を改正しなければならないのか。戦後一時期、憲法改正が問題になったのは確かだが、そのときの事情とは違っている。いまは国民の間に定着しているではないか。1200万部も発行している大新聞が、世論を誘導するようなことをしていいのか」と不快感を示したほどだ。しかし、読売新聞の提言が、世論を誘導した結果かどうかはさておき、いまや世論調査では国民の6割ほどが憲法改正に前向きな数字が出ている。
さて、その読売新聞が「安定的な皇位継承に向けた提言」は、「読売憲法改正試案」と並ぶ提言となり得るかもしれない。
購読するとすべてのコメントが読み放題!
購読申込はこちら
購読中の方は、こちらからログイン