… … …(記事全文4,249文字)時代は変わったか。「女の裏に男あり」とは、今は昔「昭和」の巨額横領事件。令和は犯罪動機も男女平等の時代。しかし、犯罪組織の逃亡先は大きく変わらない。逃亡先で、国際マフィアと一体化している
◆〔特別情報1〕
朝日新聞は15日、「貸金庫窃盗容疑の元行員 禁じられているFX取引で10億円の損失」という見出しをつけて次のように報道した。
「三菱UFJ銀行の支店長代理だった今村由香理容疑者(46)が、貸金庫から時価20億円弱の顧客の金品を盗んだとされる問題。同行の発表から2カ月弱で窃盗容疑での逮捕に至った。 今村容疑者の周辺や捜査関係者を取材すると、今村容疑者は銀行員として働くかたわら、外国為替証拠金取引(FX)や競馬に金銭をつぎこんでいた姿が浮かぶ」
時代は変わったなと思ってしまうのは筆者だけだろうか。昭和の時代、それこそ三菱UFJ銀行の前身の三和銀行で、女性行員による巨額の横領事件があったことが思い出された。1981年(昭和56年)3月25日に三和銀行茨木支店(現・三菱UFJ銀行茨木支店)の女性行員が、同支店のオンライン端末を不正操作して起こした「三和銀行オンライン詐欺事件」である。
しかし、犯行に及んだ女性行員は、その全額を恋人である都内実業家の既婚男性に渡していた。犯行の裏に男ありだったのだ。しかし、同じ女性行員による巨額の横領および窃盗ではあっても、その動機はまるで違っている。昭和は男に貢ぐため、令和はギャンブルのため。
また13日には、東京女子医科大学(東京都新宿区)の新校舎建設を巡る背任事件で、大学から建築士に1億2000万円を不正支出させたとして同大元理事長の岩本絹子容疑者が背任の疑いで逮捕された。こちらも、いまのところ男による支配の影というものは感じられない。
昭和の「三和銀行オンライン詐欺事件」を起こした女性行員は、既婚者である恋人に横領した1億3000万円を渡した後、そのなかから500万円を恋人から渡され、そのまま羽田空港から台北、香港経由でフィリピンの首都マニラへ逃亡し、恋人が来るのを待っていた。ところが、恋人はマニラに来ることはなかった。女性行員から渡された金で、家族と豪遊していたということだ。
犯行動機は、昭和から令和で大きく変わったものの、逃亡先はいまも大きく変わりはない。国際問題に精通する情報通によると、海外への逃亡先は、フィリピン、マレーシア、インドネシア、タイ、シンガポール、ドバイ、そして昨日の記事でも出てきたミャンマーと、だいたい決まっているという。これらの国には、逃亡者を受け入れる拠点があるという。
板垣英憲(いたがきえいけん)情報局 ~マスコミに出ない政治経済の裏話~
板垣英憲(政治評論家)