□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年8月20日第639号 ■ ============================================================ 「お気持ち表明」は「勅令下る」だと書いたファクタの衝撃 ============================================================ 郵送されて来た情報月刊誌「ザ・ファクタ」の最新号(9月号)を見て、私はこれ以上ない衝撃を受けた。 そこには、「天皇陛下に生前退位の表明をさせた安倍首相は進退伺を出すべきだ」と明言した渾身のレポートが掲載されていたからだ。 「安倍晋三首相は『国民に向けてご発言されたことを重く受け止めている』と述べたが、世論を何より尊重するかのようなコメントで済まそうとする心根がいかにも軽い。安倍首相が本物の『尊皇家』なら、これは首相の進退伺いを出すべき失態だ・・『お気持ち表明』という戦後レジームならではの穏やかな表明に救われたが、戦前なら『勅令下る』にも等しい・・・」 このような厳しい言葉で始まる匿名の記事は、私がこれまでに目にした「生前退位」のお言葉をめぐる数ある評論の中で、これ以上ない痛烈な安倍批判である。 筆者に敬意を表して、ここでその内容を詳しくは書かないし、その余裕もない。 関心ある読者は是非購読してお読みいただきたいが、そのいわんとすることは次の一点につきる。 3歳の時に盧溝橋事件が起き、11歳で敗戦を迎えた平成天皇は、物心ついてからの少年期は戦争しか知らずに育った。山間に疎開し、嫌な、悲しい、辛い思い出しか持っていない。昭和天皇の意向で軍服を着ることなく敗戦を迎え、中学生以降の成長期を戦後民主主義の揺籃期に送った。55歳で即位してから28年間、こうした生い立ちへのこだわりと、戦後憲法下で初めて即位した象徴天皇という宿命に全身全霊で向かい合った。「内閣の助言と承認により行う」(憲法第7条)国事行為以外の公的活動を意識的に広げ、障害者や高齢者、被災者、社会のためにつくす人々を積極的に訪ね、そうした人々の傍らに立ち、そうした人々の座る畳より低い板敷にひざまずき、その声に耳を傾け、思いに寄り添う。なによりも戦争の鎮魂と反省を身をもって体現する。この自ら求めた象徴天皇の役割を、自らの生命の残り時間が少ないと悟った天皇が、自分が元気なうちに生前退位して後々の天皇像に定着させたい、政治に勝手な真似をさせない、目の黒いうちにそれを見届けるまでは死ぬに死ねないという執念を吐露した、それが生前退位の表明なのだ。温厚典雅な語り口の中に、非常に高度な政治課題をつきつけた巧緻な「お気持ち」と聞かなければいけない。このお気持ちは宮内庁を通じ安倍官邸に伝えられていた。しかし、安倍首相はそのお気持ちにすばやく応じようとしなかったばかりか、そのお気持ちに反することばかり繰り返した。たまりかねて天皇陛下はお言葉表明されたのだ。そこまで天皇陛下を追い込んだ安倍首相は、国民の前にみずから進退伺いを出すべきだ。それほど大きな失態を安倍首相はおかしたのだ。 このファクタの記事を見て、私は新党憲法9条の結党は歴史的要請だという思いをますます強くした。 このお言葉表明の後も、安倍首相の政治は変わらないだろう。 お言葉が棚上げされて終わるおそれすらある。 そうさせてはいけない。 この国の政治の中で、天皇陛下のお言葉を実現する国民的な政党が出て来なければいけない。 まさしくそれが新党憲法9条なのだ。 どのような政権ができ、どのような首相がこの国を担おうとも、憲法9条は国是であり、世界に向けてそれを広めていく。 その事を公約に掲げる政党が天皇陛下の在位の時に実現しなければいけないのだ。 新党憲法9条は私がつくる新党ではない。 平成天皇と共にあたらな日本をつくろうとする8割の国民がみなで作り上げる新党だ。 その党首は特定の人物ではない。 憲法9条なのだ。 成功しないはずがない。 その大きな流れをつくるきっかけを投げかけたい。 大河の一滴を日本の地上に落としたい、ただそれだけである。 たとえ私にそれが出来なくても、誰かが必ずそれを実現するだろう(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)