□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年7月19日第557号 ■ ============================================================= 東京都知事選の世論調査から見えてくるもの ============================================================= 公示日から一週間近くたつというのに、東京都知事選に関するメディアの報道があまりにも少ない。 誰が出馬するかであれほど騒いでいたメディアが、まるで嘘のようだ。 舛添氏の辞任から始まった今度の東京都知事選は、誰が出馬するか、までが盛り上がり、候補者が出そろった時点でどうでも良くなったとでもいうのだろうか。 それにしてもメディアが大好きな世論調査の結果が出てこないのは不思議だ。 そう思っていたら、ついにきのう一斉に各紙が報道した。 それによれば小池氏、鳥越氏が競い合い、増田氏が追う展開だという。 一部の報道(産経、日経)は小池氏一歩リードとまで報じている。 これを見た安倍自民党は慌てたに違いない。 なにしろ自公政権の応援する候補が一番出遅れているからだ。 しかし、もっと慌てたのは、野党共闘を東京都知事選にまで持ち込んだ民進党、共産党に違いない。 そして、分裂選挙がほぼ決まった事を見て、野党4党の支持に乗れば勝てると究極の後出しじゃんけんをした鳥越氏に違いない。 今度の都知事選は自民党にとって完全な分裂選挙になった。 はじめのうちは小池候補の先出じゃんけんの真意や、自民党の対応がはっきりしなかったが、それも公示日までにはっきりした。 小池氏は安倍政権に楯突き、安倍自民党はそんな小池氏を応援する者を除名するとまで言い出した。 そんな安倍自民党政権が、公明党の支援まで受けて応援する増田候補が最下位に甘んじているのだから、安倍自民党が慌てないはずがない。 よほど増田という候補者が人気がないということだ。 しかし、私が一番注目したのは、鳥越氏が小池氏と競い合っているという調査結果だ。 自民党が完全に分裂した選挙である以上、そして野党共闘は成功していると自画自賛している野党が全面的に鳥越候補支援を打ち出している以上、鳥越氏は、もっと引き離してもおかしくない。 鳥越氏もそれを期待して出馬したはずだ。 野党共闘は、民進党にしても共産党にしても、看板議員を全面に出して応援している。 それでも一人で戦っている小池氏と競っているのだ。 鳥越氏の人気は日にちがたつにつれて色あせて行く。 いま競い合っているという事は、決して楽観できないということだ。 もし鳥越氏が負けるようでは、今度こそ野党共闘は大きな打撃を受けることになる。 もちろん安倍自民党も増田候補で負ければ打撃を受ける。 しかし、すでに安倍政権は手を打っている。 はじめこそ自民党は谷垣幹事長、公明党は井上幹事長がマイクを握ったが、いまではすっかり距離を置いた姿勢に転じている。 負けても、都政と国政は関係ないと開き直るつもりだ。 そしてたとえ鳥越氏が知事になっても行き詰まると見ているに違いない。 鳥越、増田の二人に対して、小池氏は文字通り孤軍奮闘している。 もはやそれは当初の目論見を超えて、文字通り既存の政党の組織選挙に挑むヒロインのごとくだ。 私の小池氏に対する評価は高くなかった。 私が安倍首相なら小池氏を抱き込んで自民党に有利な都知事にすると安倍首相に助言すらした。 しかし、いまはすべてが変わったと思う。 小池氏は孤軍奮闘の辛さを経験し、頼みは東京都民ひとりひとりの支援しかないと痛感しているに違いない。 組織選挙のありがたさを感じているに違いない。 だからこそ、小池氏は変わらざるを得ないのだ。 もとに戻れないのだ。 もし当選したら、小池氏は都民を裏切る事は出来ないし、しないと思う。 もし当選したら、小池氏は、権力を渡り歩いたこれまでの小池百合子ではなく、既得権益と戦う政治家小池百合子に大変身するのではないか。 そう私は期待する。 小池氏が当選すれば面白くなる。 都政も国政も、大きく変わるかもしれない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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