□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年7月12日第539号 ■ ============================================================= 南シナ海仲裁裁判の公正さを疑わせるもう一つの情報 ============================================================= いよいよ、きょう7月12日に国連海洋法裁判所の仲裁判決が示される。 これまでの報道から予想すると、その判決は中国に不利な判決となり、日米が主導する国際社会は中国に対し国際法の遵守を求め、それに中国が激しく反発する、という事態になる。 しかし、それで南シナ海の問題が解決されるかといえばまったく逆だ。 問題はこじれ、緊張は高まり、アジアは分断されることになる。 そもそも、フィリピンがこの問題を国連海洋法裁判所に提訴したこと自体が、問題解決にとって正しかったのかという事にもなる。 フィリピンはここまで中国と対決する事になる事を承知の上で、領有権問題を国際司法に委ねる事にしたのだろうか。 そう言う疑問が湧いてくる。 そう思っていたら、興味深い情報に接した。 送られて来た「アジア記者クラブ通信」の最新号(第285号7月10日発行)に、地政学リサーチャーのトニー・カルタッチという人物の「南シナ海の緊張を高める米国ー国連の仲裁をどう見るか」という寄稿がある。 その中でカルタッチ氏は、今回の提訴を発議したのはフィリピンではなく、ボストンに本部を置くフォーリーホーグ法律事務所のポール・S・ライクラー氏率いる米国の弁護士チームが行った事を明らかにしている。 しかも、この弁護士らは、国際海洋法裁判所で複数の国家の代理人をつとめた豊富な経験を持つエリート弁護士で、米国が国連を恣意的に利用して緊張を高めていると指摘しているのだ。 私は米国が恣意的に緊張を高めているというこのカルタッチ氏の主張がどこまで妥当であるかは知らない。 しかし、ボストンに本部を置く法律事務所のえり抜き弁護士たちが提訴を発議したことの真偽は、調べて見れば誰もが確認できるはずだ。 そして、もしその事実が確認されるなら、日本の柳井俊二氏がこの仲裁裁判の判事の一人として参加している事実と共に、今度の裁判の公正性を疑わせるもうひとつの根拠となる。 それにしても、今度の仲裁裁判の判事の一人が日本の柳井俊二氏であることも、今度の仲裁裁判の発議がフィリピンではなく米国法律事務所の弁護士たちであることも、日本のメディアでは一切報じられてこなかった。 もし、そのような情報が、当初から報じられていたら、我々が今度の仲裁裁判を見る目も変わっていたに違いない。 真実を知ることがいかに重要であるかだ。 情報操作がいかに我々の判断を歪めるかである。 なお、この寄港を入手したい読者の参考までに、アジア記者クラブ通信の発行元について以下の通り紹介しておく。 アジア記者クラブ(事務局) 郵便番号101-0061 東京都千代田区三崎町2-6-2ダイナミックビル5階タンポポ社気付apc@cup.com http://apc.cup.com/)(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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