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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

イラク戦争の検証はこの高遠菜穂子さんの講演録で決まりだ 
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年7月12日第540号 ■   =============================================================   イラク戦争の検証はこの高遠菜穂子さんの講演録で決まりだ   =============================================================  送られて来たJR東労組(東日本旅客鉄道労働組合)発行の「セミナー」6月号(134号)に高遠菜穂子さんの講演録が収録されていた。  今年の3月30日に行われた第308回政経フォーラムで講演した時の講演録である。  アジア記者クラブ通信もそうだが、私もかつて呼ばれて講演したことがあった。  そのよしみで、以来律儀に毎回その最新号が郵送されて来る。  その中には、一般のメディアでは知る事の出来ない貴重な情報に接する事が合う。  この高遠菜穂子さんの講演録もそのひとつだ。  読み終えて私はうなってしまった。  世界にとっても、そして日本にとっても、あのイラク戦争が本当に大きなターニングポイントだった。  こういう言葉で始まる高遠さんのこの講演録こそ、私があのイラク戦争について語って来たすべてがある。  イスラム国の出現はもとより、北朝鮮の核ミサイル問題も、日本がテロの標的にされるようになったのも、日本で安保法ができたのも、そしてここまで日本の言論が閉鎖的になったのも、すべてはあのイラク戦争からはじまったのだ。  私が高遠さんの講演の中で特に注目した部分は、サダムフセインは最後は全面降伏していた、大量破壊兵器を受け入れを認めていた、というところだ。  それにもかかわらず米国は攻撃したのだ。  つまり米国は、大量破壊兵器があるかどうかわからなかったのでも、間違った情報に騙されていたのでもなく、初めから攻撃することを決めていたのだ。  ここのところを高遠さんは今年3月の時点でこう語っている。  「・・・イラク攻撃のとき、米英が執拗に『大量破壊兵器がある』と言って来たのですが、当時の独裁者、サダム・フセインは、『好きなだけ、気が済むまで査察してくれ』と言ったわけです、そして査察(が始まったのにその)途中だったにもかかわらずアメリカにより先制攻撃が行われた・・・しかし、去年の安保法案の審議を見ていますと、安倍首相は、査察を拒んだイラクが悪かったのだという、非常に驚くような発言を何度もされています。それであらためて外務省のイラク復興支援につてのページなどを調べてみますと、やはり同じ事が書かれています。これは単純に言って、アメリカやイギリス、先制攻撃をやった当事国と全然違う事実認識を、そのままずっと踏襲してきている、ですからまずここを是正しないと、安保法の廃止は難しいと個人的には思っています・・・」  私の記憶に、いまあの時のアミン・ジュマイエル・レバノン元大統領の言葉がよみがえって来る。  ジュマイエル元大統領は、その時は現職を離れて久しかったが、持ち前の人脈でイラクと米国をシャトル外交し、サダムフセインの言葉をラムズフェルドに伝えて仲介しようとしたのだ。  そのジュマイエル元大統領を私が訪れたのは、米国がイラクを攻撃する一か月ほど前の2003年2月だった。  その時ジュマイエル元大統領は私にこう言った。  もはや、米国のイラク攻撃は止めることはできない。サダム・フセインは、最後は、何でも米国のいう事を聞くと私に言った。大量破壊兵器を持っていない事を白状して査察を全面的に受け入れといった。石油が欲しかったらすべて米国にくれてやるといった。それを私はラムズフェルドに伝えた。しかし同席していたラムズフェルドの側近が私にこう言った。そんな事はどうでもいい事だ、米国はイラク攻撃を決めている、といった。  あの時のジュマイエル元大統領の沈痛な顔がよみがえって来る。  高遠さんはその講演の最後をこう締めくくっている。  日本のマスコミは本当の事を伝えない。日本は情報鎖国になってしまったと。  私が書き続ける理由は、私の考えを述べる事ではない。  私が知り得たひとつでも多くの事実を発信する事である。  この高遠菜穂子さんの講演録こそ日本のイラク戦争検証のすべてだ。  講演録が掲載されているセミナー134号を希望する方の為に、以下連絡先を紹介しておく。  東京都渋谷区代々木2-2-6JR新宿ビル13階東日本旅客鉄道労働組合セミナー編集委員会 03-3375-5043(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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