□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年7月9日第531号 ■ ============================================================= 7月12日にも下される仲裁裁判所の判決を憂う ============================================================= いよいよ7月12日にも南シナ海の領有権問題に関する国際仲裁裁判所の判決が下される。 これまでの報道が正しければ、中国に不利な判決が下されるだろう。 そして中国はその判決に猛反発するだろう。 この南シナ海領有権に関する中国の一貫した強硬姿勢は、さすがに行き過ぎだ。 直近の報道では戴秉国(たい へいこく)前国務委員(外交担当)がワシントンでの講演で、仲裁裁判所の判決など、「ただの紙くずだ」と発言したらしい。 元外交官にはあるまじき暴言だ。 6月中旬に中国で開かれた中国とアセアンの特別外相会談では、南シナ海問題に「深刻な懸念」を表明する事で外相間で合意されていたものを、中国の劉振民外務次官が巻き返したという(7月8日読売)。 外交にあるまじき傲慢さだ。 おそらく12日に下される判決で、中国は孤立し、中国包囲網の先頭に立つ日本と中国の関係も悪くなる。 そんな仲裁裁判所の判決のことを考えると憂鬱だ。 しかし、中国の言い分の中にも一理があるものがある。 それが今度の仲裁裁判所の裁判官の構成だ。 かつて私は6月29日のメルマガ第506号「中国が南シナ海問題で常設仲裁裁判を拒否する理由がわかった」で、ニューズウィーク日本語版の記事を引用して書いた。 仲裁裁判所の裁判官の中に元外務事務次官の柳井俊二判事が含まれていると。 これを中国が取り上げて、中国包囲網を騒ぎ立てる日本の裁判官が含まれているから、下される判決に公正性はないと非難していると。 ニューズウィークの記事は正しかった。 7月7日の読売新聞が北京発竹腰雅彦記者の記事で書いていた。 中国の劉振民外務次官は中国共産党理論誌「求是」最新号への寄稿で次のように批判したと。 中国と海洋問題で争いがある日本の柳井俊二・国際海洋法裁判所長(当時)が仲裁裁判所の裁判官を任命し、その裁判官らが審理を進めて来た裁判は、「客観的でなく公正でない」と。 たとえこれが中国の言いがかりであるとしても、このような言いがかりの余地を残した裁判官任命は不適だったと思う。 少なくとも柳井氏は自らは裁判官のひとりになることを辞退すべきであったと思う。 日本外交もまた中国に付け込まれる甘さがあるということである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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