□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2015年11月2日第898号 ■ ============================================================ これは有田芳生議員の勇み足だ ============================================================= きょう11月2日の各紙が小さく報じた。 民主党の有田芳生参院議員が訪朝し、日朝協議に関与する北朝鮮高官らと協議したと。 その結果を次のように記者に語ったと。 すなわち拉致被害者の再調査報告書についてはほぼ完成しているが、日本側への提出は年を越すかもしれないと北朝鮮側から説明を受けたと。 これは先に訪朝したNGO関係者が語った、報告書は完成し、すでに日本政府に説明している、という北朝鮮側の言い分とは微妙なズレがある。 しかし、再調査が終わり、報告書が事実上できあがっているという趣旨ではほぼ一致している。 問題は、その後に続く有田議員の次の発言だ。 すなわち有田氏は記者団に対し、北朝鮮側は次のように話したことを明らかにしたらしい。 すなわち、日本政府が報告書の中身に納得できず受け取れないという局面になれば、「一方的に発表せざるを得ないということもありうる」と話したというのだ。 これは北朝鮮側からの恫喝である。 NGO職員が訪朝して北朝鮮側と接触し、その結果を日本のメディアにどう話そうと、それは勝手だ。 しょせん政府の外交とは無関係な、一私人の無責任な言動である。 しかし、現職の議員が、しかも野党第一党の民主党の議員が、日本政府と十分な打ち合わせなく訪朝し、しかもこのような恫喝まがいの北朝鮮の言い分をそのまま垂れ流すのは勇み足だ。 来年夏の参院選で改選される有田氏が選挙目当てにパフォーマンスしたのなら何をかいわんやだ。 おそらく有田議員は安倍政権とのすり合わせなどすることなく訪朝したのだろう。 自民党とのすり合わせどころか、民主党の内部にも諮らなかったのではないか。 議員という特権を利用して単独で訪朝し、北朝鮮側の言った事をそのまま日本のメディアに話したとしたら、これほどの不用意な発言はない。 再調査報告書を、日本政府との了解もないままに一方的に公表するなどということは、北朝鮮の外交信義違反だ。 これを聞いた安倍政権は激怒しているに違いない。 私が外務省や安倍政権の一員であれば、国会の閉会中審査を求め、有田議員の国会招致を求め、訪朝とその結果をメディアに公表した事について、徹底的に追及するだろう。 民主党は、有田議員の単独行動であれ、民主党としてのお墨付きを与えた訪朝であれ、どっちにしても、政府の外交の足を引っ張った責任から免れないだろう。 またしても民主党はドジを踏んだ事になる(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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