□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2015年10月12日第836号 ■ ============================================================= 「弱い米国が世界を混乱させた」という大嘘 ============================================================= いまや世界中が戦争やテロの脅威にさらされてしまったごとくだ。 そしてその責任は弱くなった米国のせいだといわんばかりだ。 たとえばきょう10月12日の産経新聞「視線」で、元産経記者で今では白鳳大学教授となった高畑昭男氏が書いている。 ふがいないオバマがシリアを混乱させたと。 シリアだけではない。ウクライナもそうだ。南シナ海でもそうだ。 米国が行動を拒めば、空白は力で埋められ、友人は離れて行く。 「力の現実」を直視しないオバマ政権はあと1年半続く、世界はさらに危うくなると。 このような言説を最近は至るところで見かける。 ここでいう行動とは軍事力の行使である事は言うまでもない。 しかし、それでは高橋氏はオバマが行動を取ればよかったと言いたいのか。 もし米国が軍事力を行使していたらどうなっていたか。 世界最大の軍事力を誇る米国が本気で軍事力を行使すれば、それに勝てる国はない。 米国はその時は戦争に勝つが、破壊され、犠牲になった国や人は抵抗し、世界は報復戦争やテロだらけになる。 米国は世界の非難にさらされる。 そう考えた時、誰が米国の大統領であっても米国に軍事力行使の選択はないことがわかる。 しかし、その米国の弱みをついて軍事力を行使し、軍事力拡張を行う国こそ、米国以上に非難さるべきなのである。 しかし、米国批判は誰もがするが、ロシアや中国やテロリストを批判するものは少ない。 これを要するに、国際政治は歴史の流れに逆行し、いまや戦争だらけの状態になった。 そして、その戦争を誰も止められなくなったのだ。 だからこそ憲法9条なのである。 いまこそ世界は憲法9条を必要としているのだ。 そのことを世界に本気で唱え、日本の国是としようとする指導者が日本に出て来ない事こそ日本の不幸なのだ。 憲法9条を否定する安倍首相はもちろん間違っている。 しかし、憲法9条を守れと叫び、安倍政権を倒せと叫ぶしか能のない野党も、それだけでは不十分だ。 いまこそ世界は憲法9条を必要としている事を日本が世界に訴える時だ。 それができる首相を輩出する政治がいまほど日本に求められている時はない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)