□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2015年10月2日第807号 ■ ============================================================= 新幹線受注競争で負けた菅官房長官の傲慢な捨て台詞 ============================================================= インドネシアへの新幹線売り込み競争で中国に敗北した日本についてはこれまで何度も書いてきた。 その最後に、これだけはどうしても書きとどめて置きたい。 インドネシア政府が日本に特使を派遣して、最終的に中国へ発注した事を説明した。 インドネシアとしては礼を尽くしたのだ。 ところが驚いた事に菅官房長官は日本に受注しなかったインドネシアを批判し、返す刀で中国のオフアーを法外だと非難したのだ。 これほど傲慢な捨て台詞はない。 報道によれば、日本は中国の巻き返しに敗れたのだ。 日本政府が本気で勝ちに行くつもりなら、中国のオファーを上回らないまでも、同等のオファーをすることができたはずだ。 そしてその場合は長年の日本との関係を考えてインドネシアは日本を選んだかもしれなかった。 しかし、日本は、それが出来ずに敗れ、こともあろうに中国側のオフアーが法外だと批判し、そんなオファーの誘惑に負けて中国を選んだインドネシアを批判したのだ。 この傲慢さは、そっくりそのまま日本の援助政策の傲慢さを象徴している。 かつて1980年代の半ばごろ、私が経済援助を担当していた時、部下の一人に今度の受注競争の矢面に立った谷崎泰明駐インドネシア大使がいた。 まだ下っ端担当官のくせに、日本の言う事を聞かないような生意気な国には援助をやらないぞと言わんばかりの発言を相手国の担当閣僚に繰り返していたことを知っている。 それから30年ほどたって、日本の国際力は見る影もなく低下し、中国経済力が強大になり、インドネシアをはじめとするアセアン諸国の国際的地位は高まった。 こんどの菅官房長官の傲慢発言は、日本の置かれているいまの国際状況を見つめることなく、かつての日本そのままの傲慢発言だ。 このような発言をしているようでは、日本はますます世界から相手にされなくなっていくだろう(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)