□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年7月5日466号 ■ ============================================================== 集団的自衛権行使容認の当面の目的は自衛隊の海外活動強化だ ============================================================== 集団的自衛権行使容認の閣議決定は、憲法9条を否定する暴挙であり許されない事だ。 しかし、私はかねてから指摘してきたのだが、この安倍首相の決定の悪質なところは、その本当の習いは自衛隊の軍隊化への道をなし崩し的に開く、姑息なものであるところだ。 その事は、報道を注意して読めばわかる。 たとえば、これから行われる一連の法律改正がいずれも自衛隊の権限拡大につながるものである事は、その証拠だ。 そしてたとえばきょう7月5日の日経新聞はこう書いている。 「政府が閣議決定した安全保障法制に関する文書は、自衛隊の活動範囲を広げるのが柱だ」と。 それでも大手新聞はここまでは書かない。 昨日発売された週刊フライデー「最初の戦場はアフリカ東海岸」という記事では次のようにはっきりと書いている(19ページ)。 「・・・この閣議決定には安倍首相の願望だけではなく、『アメリカに寄り添うことが国益』と信じる外務官僚や、自衛隊の戦力を少しでも有効活用したい米軍、みずからの存在価値を高めたい自衛隊の思惑が絡んでいる」と。 より具体的には、2009年から派遣されたソマリア沖の海賊対策を例にとって、フライデーの記事はこう書いている。 「派遣から5年。当初に比べて海賊の数は圧倒的に減りましたが、自衛隊は一向に引き上げてきません。それは海賊に対処(するふりを)しながら、日米が実地訓練を行っているからなのです・・・さらに2011年から自衛隊初の海外拠点がソマリアの隣国ジブチに設置されました。近くには米軍のアフリカ中東方面の拠点となるキャンプ・レモニエがあり、自衛隊としては、米軍と簡単に情報共有ができるこの基地機能をどうしても拡充したい。集団的自衛権の行使容認をキッカケにして、海外基地の機能を高めようとしているのです」と。 「尖閣ばかり」が注目されているが、実はこのアフリカ東岸地域が自衛隊にとっての一大海外拠点なのだと書いている。 こうして自衛隊の権限強化がどんどんと進められていく。 確かに集団的自衛権行使が容認されれば、自衛隊が犠牲になるリスクは理論上は高くなる。 しかし現実には、そのようなリスクを安倍政権や自衛隊が進んでおかすような事にはならない。 自衛隊は安全な事しか決して行わない。 その一方で、自衛隊は海外活動を主目的にし、海外活動が常態化し、米軍と一体になって気分は米軍と対等の軍隊気取りとなる。 一番喜んでいるのは、自衛隊幹部とその自衛隊幹部といっしょになって防衛官僚との権限争いを有利に進めようとする外務官僚である。 これが、集団的自衛権行使容認の背景にある現実なのである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)