□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年7月4日461号 ■ ============================================================== すっかり狂った安倍外交とそれを許す狂った日本 ============================================================== 2014年7月1日という日は、日本の戦後史上忘れられない日として日本国民の記憶に残るだろう。 「狂った安倍外交とそれを許した日本」という汚名とともに。 もちろんその最大の理由は、集団自衛権行使容認という憲法9条否定を閣議決定一つで行った事である。 しかし、その暴挙を隠すように、中国、韓国との関係より北朝鮮との関係を重視するという倒錯した外交を行った事もまた忘れてはいけない。 そしてこの二つは決して無縁ではない。 憲法9条を否定した安倍首相が、世界のならずものである北朝鮮の金正恩を米・韓・中の首脳より信頼し、関係改善を図るという日本史に残る矛盾として。 これがいかに狂った、矛盾した外交か。 その証拠が7月3日の日経新聞「集団的自衛権 変わる安保戦略」の特集記事の中に書かれている。 「(憲法解釈の変更は)この記事しかないんです。夏を過ぎれば消費税もあるし、原発再稼働もある。先延ばしして良い事は一つもない」 集団的自衛権行使容認に向けた与党内の調整が大詰めを迎えた6月下旬、安倍首相は行使容認を急ぐ理由についてこう周辺に命じたという。 みずからの内政の行き詰まりを知った上で、それをごまかすために、戦後70年日本守ってきた平和国家日本を放棄したのだ。 そしてもう一つの証拠が同じ7月3日の読売新聞「憲法考 転換安保法制」の特集記事の中にある。 すなわち、そもそも日本が集団的自衛権行使容認の必要性を感じたには1993年に始まった北朝鮮による核危機だった。 核開発を宣言した北朝鮮は核拡散防止条約(NPT)からの脱退を表明し、軍事的圧力をかける米国と一色即発の状態に陥った。 94年2月に訪日したクリントン米大統領は細川首相との首脳会談で「(北朝鮮を)解除封鎖したい。日本も協力してくれ」といって、北朝鮮が海上封鎖に対抗して敷設する機雷の除去への協力を求めた。 その時、内閣法制局は集団的自衛権の行使になるとしてこれを拒否。 以来、北朝鮮の核危機は、2013の金正恩の米領グアム攻撃恫喝に至るまで、常に米国にとって日本に対する手段的自衛権行使容認の最大の関心である。 しかも、6月29日に北朝鮮はスカッドミサイルを日本海に向けて発射した。 これを知った菅官房長官や自衛隊幹部は、「北朝鮮は国際社会の警告を無視して、核・ミサイル開発を続けている。我々の常識が通用しない国だと誰の目にも明らかになった」と危機感を新たにしている。 おりから行われた中韓首脳会談でも北朝鮮非核化に向けた連携を確認している。 それにも拘わらず、安倍首相は金正恩の北朝鮮との関係改善を選らんだのだ。 拉致問題について北朝鮮の誠意が認められたと言って。 これが狂った安倍外交でなくて何だろう。 ここまで異常な外交に対して、誰も安倍首相の決断を批判しないのはどういう事か。 解釈改憲にあれほど反発する護憲、左翼が、安倍首相の北朝鮮外交について一切の批判を行わないのはどういう事か。 何よりも、あのような歴史認識を持つ安倍首相に北朝鮮との関係改善を行う資格があるというのか。 日本という国は、何もかもいい加減だ。 矛盾だらけだ。 それを許しているのが日本国民だ。 安倍首相を批判する国民が、同時に狂った安倍外交を許している。 唯一、正しい社説を掲げたのが産経新聞だ。 すなわち朝鮮総連本部の売却問題に関し、司法の判断が政治や外交に左右されてはならない、「法の支配」の原則は堅持されなければならあに、と(7月3日産経社説)。 産経新聞しか正論を書けない日本のメディアも異常だ。 何かも異常な外交が、安倍首相の手でまかり通っている(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)