□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年4月3日第281号 ■ ========================================================= 砂川判決を持ち出した高村自民党副総裁の藪蛇 ======================================================== 集団的自衛権行使容認の改憲解釈の動きの中でとんでもない発言が飛び出した。 きょう4月3日の朝日が書いている。 自民党の高村正彦副総裁が3月31日の自民党の安全保障法制整備推進本部の会合で次のように語ったという。 「この判決が、私の知る限り、最高裁が自衛権に触れた唯一無二の判決だ」と。 その意味するところはこうだ。 すなわち1957に起きた砂川事件をめぐる訴訟では、米軍駐留は違憲とした1959年の東京地裁の判決(いわゆる伊達判決)を最高裁が差し戻し判決で覆した。 その時の判決の中で自衛権に関し次のように言及している部分がある。 「わが国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置を取り得る」と。 これを引用して、高村氏は日本の存立のための必要最小限の措置には、集団的自衛権の一部も含まれるという「限定容認論」を主張し始めたのだ。 この屁理屈が、自民党内の慎重論者たちの間で効果を上げ、歯止めをかける事を条件に解釈改憲が自民党内で急速に広がりつつあるという。 これこそが解釈改憲を強行する安倍政権のシナリオだ。 しかし高村副総裁は大きな間違いをおかした。 飛んで火にいる夏の虫とはこのことだ。 いま砂川判決を巡って大きな動きが広がりつつある。 それが「今こそ伊達判決を生かそう」という動きだ。 1959年当時、伊達判決を見てあわてた当時の田中耕太郎最高裁長官が、米国と手を組んで高裁を通り越して一気に最高裁で伊達判決を覆した。 その恥ずべき売国ぶりが、日本の学者らの手によって米国の公文書から明らかになった。 米国の公文書で記録されている以上日本の最高裁にもその証拠があるはずだ。 そう言って関連文書の開示を要求し、田中耕太郎最高裁長官の判決を無効にし、有罪判決を受けた当時の被告たちの無罪と名誉回復を実現しようとする。 その動きこそ「今こそ伊達判決を生かそう」という動きなのである。 3月30日に都内で開かれたその集会に私は出席した。 砂川判決の被告の一人である土屋源太郎さんと出会って以来、私はこの運動を全面的に支援してきたからだ。 その集会で上映された記録映画「流血の記録・砂川」見て改めて思い知った。 日本の基地闘争の原点を示す感動的な映画だ。 土地に杭は打つことが出来ても心に杭を打つことは出来ない。 この名セリフを掲げて当時の農民とそれを支持する者たちは流血と引き換えに見事に政府の農地収容を挫いた。 こんな戦いが日本にもあったのだ。 60年の安保闘争にお前に行われていたのだ。 そしてその戦いは今まさに辺野古へ基地を作らせないという名護市民の戦いにつながる。 その戦いで追及さるべき歴史の暗部こそ日本政府の対米従属ぶりだ。 日本の司法さえもが米国に従属していたという事実だ。 その張本人が田中耕太郎最高裁長官だ。 その田中耕太郎最高裁の判決が、集団的自衛権の容認の根拠として持ち出されたこの機会に、我々は砂川判決の不当性とこの国の対米従属ぶりを白日の下にさらさなければならない。 集団的自衛権行使の容認を画策するために高村氏が持ち出した田中耕太郎の最高裁判決は、とんだ藪蛇、飛んで火にいる夏の虫となる。 いや、そうさせなければいけない。 おもしろくなってきた(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

新しいコメントを追加