□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年4月3日第279号 ■ ========================================================= 河野談話否定に加担する石原元官房副長官は有害だ ======================================================== 「政府は4月1日の閣議で河野談話について『見直すことや新たな談話を発表する事は考えていない』とする答弁書を決定した。新党大地の鈴木貴子衆院議員の質問主意書に答えた」 これはきのう4月2日の各紙が小さく取り上げていた記事だ。 まだこんなことをやっているのか。 とっくに決着したはずではなかったのか。 聞く方も聞く方だが答える政府も政府だ。 そう思っていたらきょう4月3日の各紙を見て驚いた。 石原元官房副長官がきのう4月2日の参院統治機構調査会なるものに参考人として出席し、次のような趣旨の証言をしたという。 すなわち河野談話は韓国側と打ち合わせて作成されたものだ。これで慰安婦問題についての両国は了解したはずだったのに裏切られた思いだと。 これは天に唾する発言だ。 二つの意味で間違っている。 一つは内閣官房副長官として事務方の最高責任者であった石原氏が、みずから下した判断を自ら否定している。 今も当時も、慰安婦問題は日韓両国が話し合って政治的決断で解決を図るしかない。 日韓両政府の官僚たちが無い知恵を絞って合意したのが河野談話だったのではなかったのか。 それを最終的に了承したのは自分ではなかったのか。 それとも自分は関与しなかったとでもいうのか。 反対したけれど部下の官僚たちがいう事を聞かなかったとでもいうのか。 この発言は当時の官僚組織のトップに立っていた者が、部下である当時の官僚たちの仕事を批判する発言だ。 無責任にも程がある。 当時の官僚たちは怒らなければウソだ。 もう一つの間違いは、河野談話の発表によって慰安婦問題は決着したはずなのに、それを一方的に破った韓国政府にだまされたと言わんばかりの発言だ。 これも大きな間違いだ。 韓国政府が慰安婦に対する個人補償に言及し始めた最大の理由は、韓国の最高裁がそれを韓国政府に求める判決を下したからだ。 大きな事情変更が生じたのだ。 だから韓国政府は日本政府に対しその対応策をもう一度話し合いたいと言ってきたのだ。 一方的に日本に対する補償要求を求めたのではない。 日韓両政府でもう一度知恵を絞ろうと言ってきたのだ。 それを日本側(民主党政権)が日韓基本条約で解決済みの一点張りで話し合いに応じようとしなかった。 安倍政権はさらにその態度を硬化させた。 慰安婦問題がここまで深刻になった大きな理由は日本政府の硬直した外交にある。 石原元官房長官の証言を報じる記事には石原氏の隣にあの衛藤晟一議員の姿が映っている。 往生際悪く、今になっても河野談話を否定する安倍首相の右翼仲間たち。 その片棒を担がされてこのような発言を繰り返す石原元官房長官を元部下の一人として情けなく思う(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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