□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年4月1日第274号 ■ ========================================================= 調査捕鯨の敗訴と外交の敗北 ======================================================== 国際司法裁判所が3月31日、日本の調査捕鯨に中止を命じる判決を下した。 その判決文を読むと、明確、かつ強い調子で、日本の調査捕鯨の違法性を断じている。 日本の調査捕鯨の違法性を一貫して主張してきた私でさえも、その厳しさに驚くばかりだ。 そして私はあらためて思う。 これは日本外交の敗北であり、国際社会で孤立化を進める日本という国の姿を映し出すような判決であると。 外務省の責任は大きい。 なぜか。 それは国益という大義名分の下に省益や組織防衛を優先した農水産庁の暴走を、外務省は止めようとしなかったからである。 調査捕鯨の違法性を知りながら、それを黙認し、加担すらしたことだ。 二つ目は、豪州という国を見下して、豪州の批判をまともに受け止めなかったことだ。 もしこれが米国からの反発であれば対応はまったく異なったはずだ。 豪州は聞く耳を持たない日本との話し合いに見切りをつけ、2010年5月に国際司法裁判所への提訴に踏み切った。 その時点で今日の敗北があったのだ。 しかしそれでも今度の判決に至るまでには4年間もの期間があった。 その間にも、提訴を取り下げるように豪州と話し合い、調査捕鯨のやり方を変える事は出来たはずだ。 しかし、そのような形跡は一切見られなかった。 それどころか今度の訴訟の審理で見せた日本側の態度は、「日本は正しい」、「負けるはずはない」という思い上がり一点張りだ。 その硬直した姿勢は判決の直前まで続いた。 裁判官たちはさぞかしあきれ返っていたに違いない。 今度の判決が16人の判事の圧倒的多数(16人の判事のうち捕鯨国の10人の判事を上回る12人の判事が賛成)で支持されたことからもそれがうかがえる。 今回の判決を報じるきょう4月1日の各紙の記事の中で、私が特に注目したのは毎日新聞が書いていた次のようなくだりである。 すなわち豪州代表団は日本側が感情的に反発する事を警戒し勝利を強調する事を控えたという。 キャンベル代表が笑顔も見せずに「問題解決の場として国際司法裁判所は適切だった」とのコメントを記者団の前で読み上げるだけだったという。 つまり日本は何をしでかすかわからない国だと見られているのだ。 せめてもの救いは日本がおとなしく判決を受け入れた事である。 これを教訓に外務省はもっと真剣に日本の事を思った外交に専念すべきだ。 日本がこれ以上国際社会から孤立しないように努力すべきだ。 この判決によって日本の調査捕鯨問題は終わった。 もはや私が日本の調査捕鯨について書くことはないだろう(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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