□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年3月31日第272号 ■ ========================================================= 北方領土返還は「幻想」だと書いた東京新聞 ======================================================== ウクライナ情勢によって、安倍首相のもくろんだプーチン大統領との「個人的信頼関係」に期待した北方領土返還は夢と消えた。 いまでは皆そう思っている。 メディアもそう書き始めた。 しかし、そもそもプーチン大統領に北方領土返還を期待していたことが間違いだったとすればどうか。 その事を東京新聞が書いた。 もっとも東京新聞が自らの意見としてそう書いたわけではない。 ロシアの知日派学者の口を借りてそう書いたのだ。 3月30日の東京新聞「核心」という特集記事にドミトリー・ストレリツォフという知日派学者のインタビュー記事が掲載されていた。 その中で彼は、安倍首相とプーチン大統領との首脳関係の強化で北方領土交渉が進展するのではないかとの期待感が高まっていたがどう思うか、という問いかけに対し、次のように切って捨てた。 「幻想だ。プーチン氏は強権的指導者だが一人だけで決定できない。日本では何かプーチン氏と駆け引きして譲歩を引き出すことができるとの計算があるが、間違いだ」と。 これはウクライナ情勢が起きる前までは、安倍外交がさんざん唱え、日本のメディアがそれに追随して喧伝した、安倍・プーチンの個人的信頼関係による北方領土問題解決構想に対する、正面からの批判だ。 しかも「幻想」という言葉まで使って切り捨てている。 こんな記事をウクライナ情勢が起きる前に書けただろうか。 絶対に書けなかったと思う。 いくら知日派ロシア学者に語らせているとはいえ、このようなインタビュー記事を掲載すればたちどころに安倍首相の逆鱗に触れ、菅官房長官あたりから大目玉をくらったはずだ。 やはりウクライナ情勢は安倍外交に大きな変更を余儀なくさせた。 もはやこのような記事が掲載されても安倍首相は東京新聞に文句を言うことはないだろう。 それでも、やはり、この東京新聞のインタビュー記事は勇気のいる記事であると私は評価している(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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