□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年3月30日第269号 ■ ========================================================= 「すでに日中戦争は始まっている」という認識の重要性 ======================================================== 尖閣諸島をめぐり日中は再び戦争することになるかもしれない。 そういう懸念がよく指摘される。 しかし、すでに日中間は戦争状態に突入している。 そういう認識を我々は持つべきではないか。 ただし、それは軍事力を使って行われる戦争ではない。 非軍事力のすべてを投入した政治的、外交的戦争である。 習近平氏がベルリン市内で行った講演を報じるきょう3月30日の各紙の報道を読んで私はあらためてそう思う。 ドイツ政府への配慮からメルケル首相らとの会談で対日批判を避けた(毎日)習近平氏は、そのかわりドイツ国民の前で南京大虐殺まで引用しこれ以上ない強い口調で日本の過去の中国侵略を批判した。 ブラント元西独首相の、「歴史を忘れたものは同じわだちを踏む」、という言葉を持ち出して日本の軍国主義を非難した(日経) これは過去の誤りを認めない安倍政権に対しあらためて習近平政権が行った宣戦布告であると受け止めるべきだ。 この戦争は習近平政権が日清戦争から120年に当たる今年2014年を「日本の軍国主義勢力と闘争する1年」と位置付けた(産経)時からはじまった。 そして習近平政権は「反ファシズムと抗日戦争に対する勝利70周年」の来年2015年に向けて、国際社会における対日包囲網を更に強化していく。 そのきっかけを作ったのは安倍首相の2013年末の靖国参拝だ。 もはや軍事力による戦争は起こり得ず、軍事力による戦争に勝利はないことは、シリア危機やクリミア危機で我々は目撃した。 これからの戦争は、政治的、外交的戦争であり、日本もその戦争に対する戦略を持ち、負けない外交力を持たなければいけないのだ。 しかし安倍政権ほどそれに逆行している政権はない。 残念ながら安倍首相がこの国の首相であり続ける限り日本は中国との戦争に負け続けていくことになる。 今年から来年にかけて日本は耐え難い屈辱の日々を送らざるを得ないことになる。 どうすればいいのか。 どうすれば習近平の中国が仕掛ける政治的、外交的戦争に日本は正しく対応することができるのか。 それは過去の日本の軍国主義の誤りを素直に認め、憲法9条を持った平和国家に生まれ変わった日本を口先ではなく本気であることを世界に誇り高く示すことだ。 その上で、戦勝国の論理を執拗に振りかざす中国に対し和解の精神を示すべき時だと迫るのである。 中国は反論できない。 中国だけではなく世界のすべての軍事覇権国家は反論できない。 軍事覇権国家に苦しめられてきた世界のほとんどの国は、そのような日本に喝采を送るだろう。 これこそが日本の最強の外交であり安全保障政策だ。 残念ながら安倍首相が日本の首相であり続ける限り日本は中国との戦争に勝てない。 国際世論を味方につけることは出来ない。 それにもかかわらず、誰も安倍首相が目指す外交、安全保障政策の誤りを指摘するものが出てこない。 安倍政権に代わる政権の必要性を訴える政治家があらわれるきざしは皆無だ。 日本の政治の本当の深刻さはここにある(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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