□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年3月18日第242号 ■ ========================================================= 拉致問題の戦いから戦線離脱した横田夫妻 ========================================================= なぜ横田夫妻はわざわざ記者会見を開いたのだろうか。 その目的は何だったのか。 誰がそれを横田夫妻に勧め、お膳立てしたのだろうか。 その答えはいずれわかる。 しかしその答えが明らかになる前に、すでにはっきりしていることがある。 昨日のトップニュースはこの横田夫妻のニュースで埋め尽くされた。 突然の横田夫妻のモンゴルでの面会劇がなければ、クリミア住民投票をめぐる米ソの対立の激化がトップニュースになっただろう。 米国や韓国に譲歩して河野談話見直し否定答弁をした安倍首相の腰砕けぶりが問題にされていただろう。 いずれも安倍首相にとっては不都合な大問題だ。 それらが、横田夫妻の記者会見のニュースで見事にかき消された。 しかし私がこのメルマガで指摘したいことはその事ではない。 横田夫妻の記者会見ぶりを見て、私はつくづく思った。 もはや横田夫妻は拉致問題の戦いから離脱させられてしまったと。 かつて横田めぐみさんの遺骨が偽物と分かり、拉致問題への国民的怒りが盛り上がり、政府・外務省に対する無策ぶりに批判が高まった当時、政府関係者の次のような言葉がメディアに流されたことがあった。 横田夫妻を黙らせるしかない、それが出来なければ横田夫妻が亡くなるまで拉致問題を凍結するしかないと。 いままさに私はその言葉を思い出している。 拉致被害者のシンボルが横田めぐみさんで、拉致被害者家族会のシンボルが横田夫妻だった。 横田夫妻がめぐみさんを返せと叫ぶから世論が共鳴し、横田めぐみさんが生きて帰るまで拉致問題の解決は終わらなかった。 しかし政府にとってそれは困難な要求であり続けた。 ましてや安倍政権にとっては不可能な外交命題だ。 しかし安倍首相は拉致問題を自分の手で解決すると大見得を切った。 何とかしなければ責任問題だ。いずれ責められ、追い込まれる。 そんな中で起きた突然の横田夫妻の孫娘との面会だ。 孫と会った横田夫妻はすっかり変わった。 生きているうちに孫に会い、その孫やひ孫にめぐみさんの面影を重ねる。 自分たちの血が引き継がれていると感じる。 もうこれでいいのではないか。 そういう思いを横田夫妻が持ったとしても不思議ではない。 めぐみさんの安否について何も情報はなかったけれど、政治的な話はしたくなかった、と答えた早紀江さんの言葉がすべてを語っている。 そしてそれを誰も非難出来ない。 待ち構えていたように安倍首相が記者会見で応じた。 人道的配慮で面会を実現したと。 もはや横田めぐみさんは安倍政権に対し、いや北朝鮮に対してさえも、拉致問題で厳しく迫ることはないだろう。 そして横田夫妻が軟化すれば、ほかの家族会が騒ごうと押し切ることができる。 ごまかしの解決策で拉致問題を一気に展開させられる。 もし安倍官邸と外務官僚がそう考えていたとしたらこれほど残酷で卑劣な事はない。 私は今後の安倍政権の対応を厳しく見守っていくつもりである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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