Foomii(フーミー)

天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

谷内国家安全保障局長のロシア派遣を発表した安倍首相の無策
無料記事

□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2014年3月9日第222号 ■     =========================================================    谷内国家安全保障局長のロシア派遣を発表した安倍首相の無策     =========================================================  安倍首相がきのう3月8日に福島を視察しその後記者団とのインタビューに応じて震災復興に関する政府の考えを示した。  その際に谷内正太郎国家安全保障局長を近くロシアに派遣する事を発表し、それがきょう3月9日の各紙が外交面で報じた。  福島の被災地を訪れた際の記者会見で、つけたしのようにウクライナ問題への対応策を口にする。  しかしもっと問題なのはその中身だ。  近く谷内局長をロシアに派遣すると言った。  そんなことはすでに報じられていることだ。  いまさら勿体ぶって発表する価値はない。  それよりも私が問題にしたいのはその目的について安倍首相がはっきり述べたところだ。  すなわち、「日米の考え方、オバマ大統領の考え方、日・米・EUの統一的な考え方を、プーチン大統領をはじめロシア側に伝えていきたい」と。  オバマ大統領の考え方はすでにプーチン大統領が電話で一時間以上もオバマ大統領と直接会談しているから一番よく知っているのはプーチン大統領自身だ。  官僚OBの谷内局長に言われなくても知っている。  欧米の統一的な考えもまたロシアは日本以上によく知っている。  ロシアとEUとの話し合いは首脳や閣僚レベルで重ねられてきた。  ロシアが日本から知りたいのは日本の立場だ。  日本は欧米と歩調を合わせ制裁に踏み切るのか、ロシア側につくのか、どちらだということだ。  そしてこの点について安倍首相は記者会見でこう言ったという。  「日本・米国・EUがしっかりと協力し、平和的に外交によって解決していきたい。特にG7で共同歩調をとっていくことが大切だ」と。  この言葉を額面通りに受け取れば、オバマ大統領からの電話連絡を受けて、安倍首相はウクライナ問題に対するロシアへの配慮をやめて欧米協調に舵を切ったということだ。  そんな日本の方針転換を官僚OBを派遣して伝えるとでもいうのか。  そういえば安倍首相はウクライナ情勢が緊迫して以来、一度もプーチン大統領と話した様子はない。  安倍首相は本当にプーチン大統領との関係よりも欧米協調のほうを重視する方向に舵を切ったのか。  そしてその事を谷内局長の派遣によって伝えようとしているというのか。  この安倍首相の福島での記者会見における谷内局長のロシア派遣はつっこみどころ満載だ。  それにも拘わらずメディアは一切の質問を行った気配もなく、ただ安倍首相の言葉を垂れ流しているだけだ。  なぜ安倍首相は福島でこのような発言をしたのか。  その答えはきょう3月9日の東京新聞がまったく別の観点から書いている。  日本版NSCが発足して3か月たつというのにその活動がまったく見えてこない、一体何をやっているのかと。  その通りである。  日本の安保政策の指令塔となるという鳴り物入りで特定秘密法案と抱き合わせで強引に作った日本版NSCは明らかな失敗だ。  それをゴマかすために、安倍首相は福島まで出かけて行って、その存在価値を売り込まねばならなかったのである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今月発行済みのマガジン

ここ半年のバックナンバー

2024年のバックナンバー

2023年のバックナンバー

2022年のバックナンバー

2021年のバックナンバー

2020年のバックナンバー

2019年のバックナンバー

2018年のバックナンバー

2017年のバックナンバー

2016年のバックナンバー

2015年のバックナンバー

2014年のバックナンバー

2013年のバックナンバー

2012年のバックナンバー

2011年のバックナンバー

2010年のバックナンバー

2009年のバックナンバー

このマガジンを読んでいる人はこんな本をチェックしています

月途中からのご利用について

月途中からサービス利用を開始された場合も、その月に配信されたウェブマガジンのすべての記事を読むことができます。2024年11月19日に利用を開始した場合、2024年11月1日~19日に配信されたウェブマガジンが届きます。

利用開始月(今月/来月)について

利用開始月を選択することができます。「今月」を選択した場合、月の途中でもすぐに利用を開始することができます。「来月」を選択した場合、2024年12月1日から利用を開始することができます。

お支払方法

クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、d払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払いをご利用いただけます。

クレジットカードでの購読の場合、次のカードブランドが利用できます。

VISA Master JCB AMEX

キャリア決済での購読の場合、次のサービスが利用できます。

docomo au softbank

銀行振込での購読の場合、振込先(弊社口座)は以下の銀行になります。

ゆうちょ銀行 楽天銀行

解約について

クレジットカード決済によるご利用の場合、解約申請をされるまで、継続してサービスをご利用いただくことができます。ご利用は月単位となり、解約申請をした月の末日にて解約となります。解約申請は、マイページからお申し込みください。

銀行振込、コンビニ決済等の前払いによるご利用の場合、お申し込みいただいた利用期間の最終日をもって解約となります。利用期間を延長することにより、継続してサービスを利用することができます。

購読する