□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年3月8日第220号 ■ ========================================================= 「北方領土のために対ロ制裁が出来ない」安倍外交の大失態 ========================================================= ついに安倍首相がオバマ大統領と電話会談した。 といっても安倍首相がオバマ大統領に電話首脳会談を申し入れたのではない。 オバマ大統領がかけてきたのだ(3月8日読売新聞)。 対ロ制裁に共同歩調をとってくれということだ。 しかもその直後(15分後)にはケネディ大使が安倍首相を官邸に訪れている(3月8日日経)。 菅官房長官は米国の要望と安倍首相の対応について国民の前に明らかにしようとしない。 しかし、それが対ロ制裁に共同歩調を取ってくれと言うことは明らかだ。 そして、報道によれば、安倍首相は対ロ制裁について応じなかったという。 その最大の理由は北方領土問題に悪影響を及ぼす事を避けたいからだという。 もしこれが事実なら安倍首相は本末転倒の大失態をおかしたことになる。 今度の米国とロシアの対立は、冷戦後はじめての米・ロ間の深刻な対立である。 今回のオバマ政権の対ロ姿勢はかつてない強硬なものであり、制裁を率先して実施したのも米国だ。 いうまでもなく制裁措置は各国が足並みそろえて実施しなければ意味がない。 欧州も米国に歩調を合わせつつある。 そんな中で日本だけが制裁に応じないならこれ以上オバマ政権に敵対することはない。 安倍首相は最後は欧米に協調せざるを得なくなるだろう。 その結果何が残るか。 米国からもロシアからも不信感を持たれて終わることになる。 今度のウクライナ・クリミア危機の本質は、その帰属をめぐって米国とロシアのどちらの言い分が正しいかという問題ではない。 軍事力を使って領土主権を決めるプーチン大統領のやり方が国際ルール違反だという問題である。 「法の支配」を主張し、民主主義という価値観を米国と最も共有している「価値観外交」を主張する安倍首相にとって、米国と協調せず、ロシアに配慮することなどありえないことだ。 しかも北方領土問題の解決を期待してロシアに配慮する。 これは本圧転倒であるばかりか、領土問題の解決とも矛盾する。 領土主権を軍事力をつかって確保するようなロシアに理解を示す日本が、どうして北方領土をロシアから取り戻せるというのか。 北方領土問題に与える影響だけではない。 尖閣問題や竹島問題を抱えている中国や韓国は、今回のロシアの対応に理解を示す日本を見て笑っているだろう。 日本は最後まで尖閣や竹島の領有権を主張するのだろうかと。 日本の領土主権要求はいい加減なものだ、と。 ウクライナ問題に対する安倍政権の中途半端な対応は、米国、ロシア、中国、韓国のすべてから足元をみすかされる大失態である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)