□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年3月3日第206号 ■ ========================================================= 安倍ウクライナ外交のお粗末さを暴露した新聞報道 ========================================================= まず次の文章をお読みいただきたい。 これはきょう3月3日の読売新聞が書いていたウクライナ情勢に対する我が国の対応策に関する記事からの抜粋である。 「菅官房長官は2日、首相官邸で、国家安全保障会議(日本版NSC)の谷内正太郎国家安全保障会議事務局長から、ウクライナ情勢について報告を受けた。岸田外相も2日、外務省内で幹部と対応を協議し、ロシアとウクライナ暫定政権の双方に自制を求めていくことを確認した・・・」 これはおかしい。 ウクライナ情勢を最もよく把握しているのはウクライナにある日本大使館であり、そこから送られてくる情報を持った外務省である。 外務省OBである谷内正太郎事務局長はかつての部下たちに命じて外務省から情報を得て、それを菅官房長官に伝えるだけだ。 菅官房長官は緊急に岸田外相を官邸に呼びつけて谷内事務局長と一緒にウクライナ情勢を聞き、議論し、その場で日本の対応策を決定すべだ。 その一方できょう3月3日の日経新聞には次のような記事があった。 「谷内正太郎国家安全保障局長が今月中旬にロシアを訪れる方向で調整していることが2日わかった・・・モスクワでカウンターパートのパトルシェフ安全保障会議書記らと会談し、ホットライン開設の検討など両国の国家安全保障会議(NSC)同士の連携強化を確認する見通し。ウクライナ情勢についても意見交換するとみられる・・・」 なんという間抜けた話だ。 いま国家安全保障会議がなすべきは、緊迫するウクライナ情勢に対する我が国の方針を決めてそれをロシアとウクライナの双方に伝えることだ。 その事務局長が3月中旬にロシアにのこのこ出かけて行ってカウンターパートとの連携強化を話すという。 そのついでにウクライナ情勢について意見交換するという。 そのころにはウクライナ情勢はとっくに危機的状況を終わって予測不能な局面に入っているだろう。 これらの報道を読んで不思議に思うのは、安倍首相の姿がまったく見えないことだ。 プーチン大統領と何度も首脳会談を重ねて信頼関係を築いたのは安倍首相ではなかったのか。 なぜ安倍首相みずから陣頭指揮を取り、我が国のウクライナ政策を決定して、それをプーチン大統領に電話会談で伝えないのか。 そう思っていたら安倍首相は対応に苦慮しているという。 プーチン大統領とオバマ大統領の板ばさみになって動きがとれないという。 プーチン大統領が国際的に孤立したり、指導力が低下すると安倍首相にマイナスに働くと見ているという(日経新聞) 本末転倒だ。 要するに安倍政権はウクライナ情勢に対応する体制も対応策もどうにもならない状態にあるのだ。 それならそうと、安倍政権は出る幕がないと書けばいい。 無理をして、日本が何かできるふりをしたり、機能していない国家安全保障会議を機能しているように見せようとするから、このような滑稽な記事を書かざるを得なくなるのである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)