□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年2月26日第192号 ■ ========================================================= TPP交渉でも米国を「失望」させた安倍首相 ========================================================= TPP閣僚会議は米国のゴリ押しによって不成立のまま終わった。 私にとってこれは意外だったが、歓迎すべきことだった。 なぜか。 まずなぜ私がなぜ今度のTPP交渉の不成立を歓迎するかについて書くことにする。 それはもちろん日本にとって不利なTPPが成立せずに終わってよかったと思うからだ。 しかし、それだけではない。 米国の日本に対する要求の理不尽さが白日の下にさらされたからだ。 今度のTPP交渉は通常の多国間経済交渉ではない。 こよなく日米の二国間交渉であった。 そして日米経済二国間交渉は、米国の対日貿易赤字削減要求から始まって日本市場開放要求、日本構造改革要求に至るまで、長年の米国の理不尽な要求の連続であった。 TPP交渉の名の下で行われてきた「日米並行協議」なるものは、まさしくそのような米国の理不尽な対日要求の集大成であった。 それを日本国民が広く知るようになったことは歓迎すべきことである。 それならなぜ私は今度のTPP閣僚会議の決裂を意外に思うのか。 それは日本が全面譲歩しなかったからだ。 日米二国間経済交渉は日本の全面譲歩なくしてはまとまらない。 これまでの自民党政権は、日米同盟最優先の観点から最後は国民や業界の目をごまかして全面譲歩してまとめてきた。 だから今度のTPP交渉も最後は日本が全面的に譲歩するものと思ってきた。 それが親米保守という名の対米従属の日本の歴代政権の方針だった。 だから安倍政権の下で、日本が譲歩せずに交渉が不成立に終わったことは私にとって意外だった。 そしてその理由がもし愛国保守の安倍政権のなせる業だとすれば、またひとつ安倍政権は米国を失望させ、さらなる米国の不信を買うことになる。 ただでさえ歴史修正主義の安倍政権は米国の不信を買っている。 だからTPP交渉だけは全面譲歩してこれまでの自民党政権と同じように日米同盟重視の政策を踏襲すると私は思っていた。 これで安倍首相は4月のオバマ大統領の訪日前までに二つの大きな宿題を背負うことになる。 一つは日中、日韓関係の改善のための具体的な対案(つまり二度と靖国参拝を行わないことや、河野談話の見直しは行なわないということについての確約)であり二つはTPP交渉における全面譲歩、これである。 そのいずれもこれまでの自民党政権ではここまで日本が追い込まれる前にあっさり了承していたことだ。 それがオバマ嫌いに傾斜する安倍政権ではいずれも困難になってきた。 私はこの二つのうちTPPだけはオバマ訪米までの全面譲歩して解決すると思っていた。 TPP交渉までもここまでオバマ政権に盾突くとは意外だった。 オバマ政権と安倍政権の関係の前途は深刻であるということだ(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)